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子どもから大人まで夢中に プロダンサーが明かすNewJeansのダンスが魅力的に見える理由

公開日:  /  更新日:

著者:鄭 孝俊

バラバラだからこそ難しい NewJeansのダンスの難易度が高いワケ

 その理由は意外なところにありました。それは、「曲の導入部分が振り付けではなく、おしゃべりの仕草から始まるから」だといいます。

「4人がおしゃべりしているところにメンバーのヘインが入ってきて、グループ全体のダンスへと進みます。このおしゃべりというのはダンスではないので、そこの教え方がとても難しいんです」

 NewJeansの楽曲ではほかに「Hype Boy」も同様で、今までのK-POPにはなかった新しい動作なんだそう。

「高校生の若さのような感じが表現されていて楽しいのですが、教える立場としては大変です。しかも、このおしゃべりのときの動きがYouTubeの公式プラクティス動画と、出演した歌謡番組によってそれぞれ異なります。ある番組では手を振っていたり、別の番組では『その髪型いいじゃん!』みたいな感じで手を伸ばしていたり。スタジオでは『ここのカウントで振り返って、ここのカウントで目を合わせてね』っていう感じで教えますが、細かい動作までマスターするのは非常に難しい。私はこれを“第1試練”と呼んでいます」

 続く“第2試練”とは「バラバラなダンス」といいます。

「これまでのK-POPは『カル群舞』といって、グループ全員が指先までピタリとそろえる刀の切れ味のようなシンクロを競ってきました。それがK-POPらしさだったのですが、NewJeansはそこから大きくはずれています。足のステップはそろっていて、取っている音も一緒だったりしますが、手の動きが全員違う。曲の導入部では、左手を上げているメンバーもいれば、両手をぐるりと回しているメンバーもいます。『ワンエイト』は同じでも全員の振りはバラバラ。足も左から入っているメンバーもいれば、クロスしているメンバーもいる。一緒に見えて全部違う。私が今まで『趣味クラス』で教えたダンスのなかではダントツで難しい。5人全員がそろったダンスであれば、講師は1パターンを教えればそれで済みます。しかし、『ETA』のように全員バラバラだと講師は5人分を教えないといけません。つまり、講師の負担は5倍になるというわけです。ですから『ETA』を教えるときは『私が5人欲しい』と思ってしまいます」

 実際にNewJeansに「ETA」の振り付けを教えた現地コーチは、5人全員分の振り付けをすべて考案したのでしょうか。

「もし、5人全員分の振り付けをあらかじめ計算して決めていたとしたら、相当すごいレベルです。とにかく負担がすごいので。ある程度はメンバーのアレンジに任せているのか、あるいはサビの部分のめちゃくちゃ細かい動きまでコーチが決めているのか……どっちだろう? というのが、最近の私の疑問です。もし前者であるとしても、全体のバランスを壊さないようにメンバーそれぞれが動かないといけない。彼女たちのダンススキルが相当高くないとできない振り付けということになります」