Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

飲食業界未経験からオーナーシェフに抜擢された28歳女性 運を引き寄せた熱意と行動力

公開日:  /  更新日:

著者:河野 正

カウンター10席の「anneau」をオープン 目下の課題は集客と認知度向上

「anneau」はカウンター10席のおしゃれな空間【写真提供:早川歌輪】
「anneau」はカウンター10席のおしゃれな空間【写真提供:早川歌輪】

 フレンチをベースとした「anneau(アノー)」は8月5日にオープンを迎え、早川さんの“独立記念日”となりました。

「2年間限定ですから、お客様に毎月1回いらしていただけるよう、毎月コースメニューを変えています。9月から“パンとワインの日”のほか、土日だけのオープンカフェをはじめ、10月からはブランチも。スタッフに会いたい、おしゃべりしたいって思っていただけるお店になればいいなって考えています」

 毎日がコース料理では頻繁に足を運べないのでは……? と、パンの日やカフェを設けるなど知恵を絞る毎日だそう。毎月メニューを変えるため、品ぞろえやレパートリーは多岐にわたります。コースには10品が並び、こだわりの自家製パンも。食材やワインも自分の目で厳選して買いつけます。

「集客と店の存在を知ってもらうことの難しさは、オープンして初めてわかりました」

 それでも、船岡シェフが毎月一度は大阪から来店し、経営についてわかりやすく説得力のあるアドバイスをしてくれるのは心強く、バックアップに感謝しているそうです。

人とつながりが持てるように 店名はフランス語で「輪」

 屋号の「アノー」はフランス語で「輪」を意味します。

「輪っかのように大勢の人とつながりを持てる仕事をしたいですね。それと『予約しておかないと、満席かも』と思われるような店に発展させることが直近の目標です」

 30歳での独立を夢見ていた早川さんは、現在28歳。目標より早く達成できたものの、周囲のサポートがあればこそで、完全な独立ではないと語ります。

「大阪のお店ではすごくよくしていただきました。独立したら人を雇って育てることもしたいです。ボランティアの仕事が、私の最初の夢でした。だから別の仕事を選んだ今の状況からでも、持続可能な支援をする形態を確立できたらいいなって思い描いているんです」

 穏やかな語り口と優しい表情で、将来の自身の姿を思い描いていました。

◇早川歌輪(はやかわ・かりん)
大阪府出身。高校時代からボランティア活動を始め、東南アジアを中心に従事。19歳で帰国後、大阪のフレンチ「ONZORO」でスーシェフとして7年間勤務。東京の「CAVEMAN」「みもっと」で無国籍料理などを学ぶ。8月5日、「anneau」をオープン。

(河野 正)