料理・グルメ

コロナ禍を生き抜く「おこし」屋 24歳経営者が老舗の立て直しに成功した理由とは?

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔

タグ:

3代続く老舗おこし屋「丸文製菓」の細谷誠代表【写真:荒川祐史】
3代続く老舗おこし屋「丸文製菓」の細谷誠代表【写真:荒川祐史】

 長引くコロナ禍で、苦境に立たされる業界も多い昨今。そんな中、24歳で一般企業を退職し、家業のおこし屋を継ぐ決断をした男性がいます。東京・荒川区で3代続く老舗おこし屋、丸文製菓の細谷誠代表に、弥生時代から存在したという和菓子「おこし」に人生をかけた理由を聞きました。

 ◇ ◇ ◇

人材紹介会社からおこし屋の代表に 経営では問題点が浮き彫りに

「家がおこし屋で、生まれた時から身近なところにおこしがありました。創業者の祖父は僕が生まれた時にはすでに他界していましたが、祖母や家族から、どんな人だったかはことあるごとに聞いていて。まだ甘いものが貴重だった時代に、戦争から帰ってすぐ和菓子屋で修行して、一からおこし作りを始めた。(家業を継いだのは)自分が好きなおこしを守りたいと思ったのがきっかけです」

 今年で創業59年、祖父から3代続くおこし屋に生まれた細谷さんですが、元々家業を継ぐつもりはなかったそう。大学では理系の学部で自動車や航空機のエンジンについて学び、エンジニアを目指す過程で、視野を広げる目的から人材紹介の会社に入社しました。

「インターンも含めて2年くらい経った頃、祖母が倒れて実家の仕事を手伝えなくなったんです。叔父と叔母、祖母の3人が家族経営でやってきた会社で、元々経営が傾いていたところで1人が欠けて一気にガタガタ来た。

 ふと、『あ、会社ってこういう風につぶれていくんだな』って思ったんです。それまでは良くも悪くも家業と向き合ってこなかったけれど、若い今のうちなら仮にダメでも何とかなる。思い切って手伝ってみようと」

 経営に目を向けると、これまで何十年も手を入れてこなかった問題点が次々と浮き彫りに。役立ったのは、意外にもそれまで勤めていた人材紹介会社で得た知識だったといいます。

「世の中では、物を仲介して売る商社が一番のビジネスエリート。仲介業者が利益を得る一方で、作り手にはあまり利益が回ってこない。もっとダイレクトにメーカーと消費者がつながるべきだと思いました。

 人材業界も似たようなもので、業界の内側を見ていたからこそこのままじゃダメだなと。問屋相手にクローズドの商売をしていたのを、ネットで直接小売店とやりとりしたり、ECサイトで直接販売したりと、エンドユーザーの声を拾えるようにしました」