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日本の国際色豊かな食文化は「やっぱりすごい」 物価高騰で過酷さ極める英国の食事情

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

節約で耐えるランチ

天気の良い日は公園で食べる人が多い、英国のランチタイム風景【写真:Moyo】
天気の良い日は公園で食べる人が多い、英国のランチタイム風景【写真:Moyo】

 そんな事情があるので、私も同僚もランチボックス持参が日常的でした。私は日本に帰国すると、NHKの番組「サラメシ」をよく観てしまうのですが、テレビのような手の込んだカラフルなお弁当! ではなく、持っていくのは至ってシンプルです。

 前日の夕飯で余ったものの詰め合わせや、パスタやサラダのみの単品弁当、簡単なサンドイッチとスープ、インスタントラーメンなど、とにかく普通。毎日外食していたら破産するのはみんな共通なので、そこそこの節約志向を持ち合わせていました。

 多国籍な職場だったので、出身国の名物を手作りしてオフィスに持ってきたり、ボリュームのあるピザやケンタッキーフライドチキンなどを一緒に買ってきたりしてシェアしていました。ランチをイベント化して楽しめるようにしていたのです。

日本にはない、ゆるい事情も

 また、気になるのは日本食へのアクセスのしやすさですよね。自分で作った日本食まがいのごはんを家で作って職場へ持っていくこともありましたが、英国の街中には日本食の外食チェーンがそれなりにあるので、そこまで心配することはありません。

 先ほど挙げたように、お金を出せばおいしいラーメン店もありますし、駅中やオフィス街に必ずある日本食チェーン店「Wasabi」や「itsu」で、お寿司やうどん、カレーなどを気軽に食べることができます。

 ただし、こちらで人気のお寿司は、もっぱらサーモン。お寿司のお弁当を買ったらサーモン12貫だったということがあり得るので、少し困りものです。また、胃に優しいうどんを食べようと思っても、なぜか餃子が入っていたり、だしの味がまったくしなかったりと、なかなかのフュージョンぶり。

 さらに、冷凍庫から出したばかりのお寿司を陳列していたのか、いざ食べようと思ったらカチコチに凍っていた……なんてことも経験しました。

 自分が知っている日本食や外食の基準を、英国でウケる日本食に合わせないと、ちょっと、いえ、だいぶがっかりすること間違いなしです。慣れてくると、まあこんなものか、何もないよりあったほうがマシ! と思えてくるかもしれません。

 味はもちろん、お財布にも優しい日本。さらに、日本食だけでなく、国際色豊かで多様なごはんがいつでもどこでも手に入る日本の食文化は、やっぱりすごいことだと思います。日本では、「これはちょっと……」と思ったごはんに遭遇したことがありません。

 そんな日本とはいろいろと違う、金銭面でもクオリティ面でも少しシビアな英国のランチ事情ですが、良いなと思った面もあります。それは、お昼からのお酒が(だいたい)OKなこと。スーツ姿の人はもちろん、同僚同士のランチであろうシーンで、明るいうちからお酒をたしなんでいる人々をよく見かけました。私も、マネージャーがOK派だったのでたまに飲むことが。

 仕事に支障が出ないよう、もちろん自制心が必要ですが、たまにカーッとお昼からさっぱりできるのは良いですよね。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。