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「トラブルに巻き込まれないほうが奇跡」 日本人女性が驚いたロンドンの公共交通事情

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

出社が遅れるのは交通機関のせい

車も人通りもほとんどなかったコロナ禍のロンドンの道路【写真:Moyo】
車も人通りもほとんどなかったコロナ禍のロンドンの道路【写真:Moyo】

 コロナが収束し始めた頃は、あらゆる企業が従業員にオフィス回帰を要請。その結果、特定の曜日だけに乗客が集中し、通勤時間帯に尋常ではない混雑が発生するようになりました。

 とくに火曜日と木曜日の混雑はすさまじく、その代わり月曜日と金曜日は閑古鳥が鳴く現象が発生していました。そのため、バスや地下鉄が混雑しすぎて乗れず、何本も見送る羽目に。日本では人身事故が発生するとそうしたことも珍しくありません。コロナ禍後のイギリスではこのようなことがよく起きましたが、その原因は日本とは異なり、乗客側とドライバー側の2つの原因が大きく作用しているように感じました。

 まず、バスの場合、イギリスの乗客は自分たちが押されるのを避けるため、車内であまり詰め合ってくれません。各自が数センチずつ動けば新たに数人が乗れそうな状況でも、頑なに動きません。そのため、すし詰め状態ということはなく比較的まだ余裕がある、少し不思議な混雑が生まれます。

 そして、ドライバー側も降車客だけ下ろして、新しい乗客は一切乗車させずに出発させることがよくあります。降車客がたくさんいたおかげで、乗れる余裕がかなり生まれたというときでも、外で待っているお客さんたちをスルーして出発することが。

 なかには、頑張って詰め込むタイプのドライバーもいて、「降車口からなんとか乗りな」と言ってくれるケースもあるのですが……。そのようなドライバーはまれ。遭遇したときは幸運です。

 このように慢性的に交通事情が悪いので、必然的に出社が遅れる人が多くなります。しかし、誰も遅刻をとがめることはなく、代わりに「今朝、大丈夫だった?」とねぎらう会話が繰り広げられます。

 日本の通勤時間の混雑具合は今もすごいものだと思いますが、大都市ロンドンでも、最近の交通機関でのストレスはそれに匹敵している気がします。本当に遅刻しているのか、交通機関のせいなのかわからない遅刻常習の同僚もいましたが、目立たなくてラッキーですよね。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。