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更年期の食事 多くが誤解している? 骨の健康に良い栄養素とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

骨の成分であるマグネシウムとリン

○マグネシウム
 カルシウムと同様、骨の成分です。骨の強化のほか、カルシウムと体内で拮抗しながら、筋肉の伸長や収縮、正常な血圧の維持などに関わるといわれています。摂取する理想の比率としては、カルシウム:マグネシウム=2:1で、カルシウムを多く摂るほど、マグネシウムは排泄されてしまいます。

 マグネシウムを多く含む食材は、ヒジキやワカメなどの海藻類、玄米や全粒粉パンなどの未精製の穀物、納豆や豆腐などの大豆食品、クルミなどのナッツ類です。マグネシウムは不足しがちな栄養素ですので、さまざまな食品から摂っていきましょう。

○リン
 カルシウム、マグネシウムと同様にリンは骨の成分です。骨の強化のほか、体液の浸透圧を保つなど、人体のさまざまな働きに関わっています。骨の成分であるものの、過剰に摂るとカルシウムの吸収を妨げる特徴があるので、摂りすぎに注意が必要です。

 現代の食事では、インスタント食品や加工食品などに添加物として多く含まれるので、通常は不足することがありません。むしろ過剰摂取にならないように気をつけましょう。

カルシウムの吸収を助けるビタミンDとビタミンK

○ビタミンD
 カルシウムの腸内での吸収率を助ける役割に期待。脂溶性のビタミンなので、油脂に溶けることで吸収率を上昇させます。油は、消化吸収が早く体脂肪として蓄積されにくいMCTオイルや、悪玉コレステロールを減少させ生活習慣病予防に期待できるといわれるオリーブオイルなどを用いると良いでしょう。

 食材としては、シラスやサケなどの魚類、マイタケやシイタケなどのキノコ類に含まれます。

○ビタミンK
 カルシウムを骨に吸着させて骨の形成を助ける役割があるといわれています。ビタミンと同じく脂溶性のビタミンです。血液を凝固させる働きも持ちます。

 食材としては、納豆、豆苗やブロッコリー、小松菜、ヒジキや海苔などの海藻類に含まれます。さまざまな食材に含まれるので、バランスの良い食生活をしていれば不足することはありません。

 骨の健康のためには、これら4つの栄養素とカルシウムを含む食材を上手に摂っていくことが大切です。たとえば、マグネシウムやビタミンKが多い納豆のトッピングに、シラスや桜エビ、もずくなどをチョイスすればカルシウムも補給できます。

 また、大豆製品には更年期の不調緩和が期待されるイソフラボンも含まれます。普段飲んでいるコーヒーや紅茶に、無調整の豆乳を入れてソイオレにしたり、ソイティーにしたりしていただくのも良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾