ライフスタイル
認知症になった親の保険 家族であっても勝手に解約できない 事前にできる対処法とは
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:石澤 みぎわ
認知症になった親の保険を解約するには
次に、保険の解約方法ですが、主に2つあります。
1. 契約者本人が作成した委任状を提出する
契約者が委任状を作成できる場合は、本人作成の委任状を提出することで、その委任を受けた代理人による解約が可能です。ただ、提出された委任状は、保険会社が記載内容などを詳細に調査。認知症の進行度合いによって、本人の意思が確認できないと判断された場合には、解約が認められないこともあります。
2. 成年後見人が代理で手続きする
法定後見人制度を利用することで、家庭裁判所で選任された成年後見人が、認知症になった契約者に代わって保険の解約をすることが可能です。
親が認知症になっても、家族が保険を解約できる“ある手続き”
最初に、「原則として、保険は契約者本人でなければ解約することはできません」と言いましたが、契約の際に“ある手続き”をしていた場合は、原則通りではありません。
それは、家族が成年後見人に選任されている場合、そして契約している保険に「保険契約者代理制度」の特約をつけて代理人を指定している場合です。
1. 家族が成年後見人に選任されている場合
「成年後見人」とは、成年後見制度に基づき、認知症などの理由で判断能力が低下し、法律行為を行うことが不可能となった人に代わって法律行為を行う人のことです。この「成年後見制度」には、「任意後見人制度」と「法定後見人制度」の2つがあります。
「任意後見人制度」とは、事前に契約者本人が選任した人に、本人の代わりにしてもらいたいことをあらかじめ決めておく制度です。一方の「法定後見人制度」とは、認知症になったあとに利用できる制度。ただし、認知症になった本人の利益と資産保護の観点から、適任と見なされた人が家庭裁判所により選任されるため、弁護士などの専門家が選ばれることが多く、必ずしも家族が選出されるわけではない点に注意が必要です。
2. 契約している保険に「保険契約者代理制度」の特約をつけ、代理人を指定している場合
保険によっては、「保険契約者代理制度」という特約をつけることができる保険があります。これは契約者本人が認知症になる前に行う必要がありますが、契約者本人の判断能力が低下したり、意思表示が困難になったりして手続きができなくなってしまった場合に、あらかじめ登録した代理人が手続きできる制度です。契約者代理人として指定できる範囲は保険会社によって異なりますが、代表的な範囲には契約者本人の「戸籍上の配偶者」「直系血族」「兄弟姉妹」が挙げられます。