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太りやすい更年期 体重を減らすことよりも大切な食事の鉄則3つとは 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

鉄則1 朝食にたんぱく質をとろう

 たんぱく質は、筋肉を作る材料となり、ホルモンの調整にも欠かせない栄養素です。たんぱく質を構成する化合物のひとつ「トリプトファン」は、朝に摂取すると夜には睡眠を促すホルモン「メラトニン」に変化し、よく眠れるようになることが期待できます。質の良い睡眠は代謝アップにもつながり、太りにくい体作りをサポート。朝食には、積極的にたんぱく質をとりましょう。肉、魚、卵、納豆、豆乳、豆腐、牛乳、ヨーグルト、など、動物性と植物性のたんぱく質をさまざまな食材からとるのが理想です。

 ただし、たんぱく質は大量にとったからといって体に貯蓄されるわけではありません。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、女性(18歳以上)のたんぱく質の1日の推奨量は、50グラムとなっています。適量をいただきましょう。

鉄則2 大豆製品を積極的に食べよう

 女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする成分として、エクオールが注目されています。エクオールとは、大豆製品に含まれるイソフラボンの成分が、腸内細菌によって代謝されて変化してできた成分です。エストロゲンが急激に減少する更年期には、大豆製品を積極的に食べることが望ましいとされています。ただし、腸内でエクオールを産生できるのは、日本人女性の2人に1人といわれ、自分がエクオールをつくる腸内細菌を持っているかどうかを知るためには、尿検査をする必要があります。

 1日あたりのエクオールの目安は10ミリグラムで、大豆製品でいえば豆腐で3分の2丁、豆乳であればコップ1杯、納豆なら1パックが目安です。いずれにしても大豆製品は低エネルギーで、イソフラボンのほか、たんぱく質、ミネラル、ビタミンなど栄養成分が豊富なので、太りやすい更年期には積極的に食べたい食材です。

鉄則3 食べる順番も意識

 近年、食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが太りにくい体作りにつながると期待されています。つまり、血糖値の上昇をゆるやかにするようなものから食べていくことが大切です。副菜→主菜→主食の順番で食べるようにすると、血糖値の急上昇を防ぎ、炭水化物や脂肪を吸収しにくくなります。またゴボウや海藻類など食物繊維を含むものから食べると、血糖値の急激な上昇を防げるでしょう。食事の満足感を得るために、よく噛んで食べることは基本です。

 忙しい毎日の中で、すべての食事の栄養バランスを完璧にしようとするのは大変です。まずはこの3つを意識してみましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾