Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

家賃は滞納 ガスは供給停止 飲み会通いがやめられない貧困女子の実態 「誰かにぎゅーってされて寝たい」

公開日:  /  更新日:

著者:Ryo

家賃や公共料金の支払いより飲み会を重視

 たとえ飲み放題などで、1回の飲み会代を3000円ほどに抑えられたとしても、それを2~3日続ければ1週間に6000~1万円近い支出になる。当然、毎月多額のお金が出ていく。アイドル活動をしているといえど、そのお金は一体どこから出てくるのか。彼女はあっけらかんと次のように言い放った。

「私、家賃も滞納しているし、この間なんてガスも止まって寒くて死ぬかと思いました(笑)」

 驚いた。

 普通の感覚であれば隠したいであろうことをいとも簡単に、しかも楽しそうに話すのだ。どうやら生活費を削って……いや、払うことなく飲みに来ているらしい。とはいえ女の子。お風呂に入らないわけにはいかないだろう。

「ガスが止まったら友達の家に行きますね。んで、ご飯は年上に払ってもらう。タクシーは乗り合わせて自分が先に降りる。そうすれば節約できるんです」

 そもそも“節約”の定義からほど遠く離れているような気もするが、彼女の生きて行くための手段なのだろう。恥ずかしいだとか、その生活を変えていこうだとかいう気持ちは微塵も見えなかった。

自分探しの途中だから

 生活費を後回しにしてしまうほど、寂しくて飲み相手を探してしまうなら、恋人を作るなり、没頭できる趣味を作るなりしてみるべきだと、私は思う。しかし、彼女の飲み会への思い入れは、私の想像以上のものだった。

「夜の世界は、社会の縮図じゃないですか? 若い時にいろんな人に出会って、その価値感を学ぶために、なるべく飲み会には参加するんです。“自分探し”の途中なので(笑)、自分が将来何をしたいかを知るため、的な? それにだいたい人脈って飲み会で作れるし」

 彼女は、手当たり次第、飲み会に参加することで、新しい人脈と価値観を得ているという。それが今の彼女の世界観の中で最も価値あるもののようだった。

 きっとN美さんは、“自分探し”の旅が続く限り、彼女なりの“節約”をしながら飲み会に参加し続けるのだろう。人間は皆いつまでも自分を探しているものだと私は思う。彼女の話を聞きながら、私も彼女に倣って誰かれ構わず飲み会に参加すべきか……と考えてみた。

 いや、違う。しっくりこない。誰かと飲むお酒は確かに楽しいが、それが自分の利益や欲のためになってしまったら、きっとその欲望はいつまでも尽きず、彼女と同じように飲み会そのものに依存をしてしまうだろう。

 彼女が自分を見つけられる日を願って、今日もひとり晩酌するとしよう。

(Ryo)