仕事・人生
沖縄でチョコレート作り 目指すのは「世界一おいしい」ではなく、地域感あふれるチョコレート
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トレーサビリティを重視 持続可能な地域づくりにつながる商品を
かけ合わせる沖縄の素材の調達は、川合さんが生産者さんに実際に会いに行くところからスタートします。誰がどこでどのように作っているのかという「トレーサビリティ」を伝えていくことも重要視しているそうです。
「沖縄全体を自家菜園(沖縄の言葉で『あたいぐゎー』)として見れば、誰が作っているのかがわかっている素材を自分で探しに行って、作り手と対話をしたうえで、加工して商品として世の中に出していくことにこだわっていきたいんです。生産現場を知るのは非常に大切で、そのことを商品を通じて消費者に伝え、消費者からのフィードバックを生産者さんに戻していく。持続可能な地域づくりにつながるのではないかと思っています」
そのような取り組みのなかで、これまで気づかなかった課題と解決方法が見えてくることもたくさんあるとか。たとえば、生産現場が直面する高齢化もそのひとつです。
「シークヮーサーの木はあるけれど、収穫ができない。シークヮーサーがないと自分たちのチョコレートの商品ができない。それなら収穫を手伝おうか、一緒にやっていこうかということもあります」
こうしてチョコレートの商品ラインナップには、カラキと呼ばれる沖縄シナモン、シークヮーサーや月桃、やんばる酒造の泡盛まるたなど、沖縄県産の素材を使用したものが誕生。また、季節によってはバナナやスイカ、マンゴーなど、沖縄地産の素材を用いた種類が店頭に並ぶようになりました。
「世界一おいしいチョコレートを作ろうということではないんです。そもそも沖縄はカカオの産地ではないので、それはいわゆるカカオ産地の“本場”に失礼じゃないかと思うんですよ。でも、大切なのは地域らしさなんです。その地域、気候、許された環境の中で、どういうこだわりを持って作れるかということだと感じています」
2021年に初のカカオポッド収穫 沖縄産100%チョコレート完成の日も近い?
一方で、同時進行している沖縄でのカカオ栽培。種まきから始めた川合さんは、さまざまなトライ&エラーを繰り返し、移住5年目の2021年に初めてカカオポッドの収穫に成功しました。翌年には100個を超えるカカオが実り、10キロの収穫も。
現在もカカオポッドからのチョコレート作りは試作段階だといいます。冬を乗り越えて収穫する沖縄のカカオの実は、海外産のものと比べると厚みがなく、収穫する季節によって品質が異なるという課題も。しかし直近の目標に「2025年のフランス・パリで行われる本場の『サロン・デュ・ショコラ』に出展すること」を掲げる川合さん。沖縄産カカオで作られた「沖縄産100%」のチョコレートが生まれる日は近いのかもしれません。
世界でも有数の長寿エリア「ブルーゾーン」として知られる沖縄のものづくりを、チョコレートを通して表現していきたい。川合さんは「長寿の里」大宜味村から、世界へと発信していく思いであふれています。
2016年に沖縄県へ移住し、株式会社ローカルランドスケープを起業。自社の畑でカカオ栽培をスタート。2021年にカカオポッドの収穫に成功し、東京などでの催事にも出展。2022年にカフェスペースを併設した工房兼カフェ「オキナワカカオ ファクトリー&カフェ」をオープン。
(Hint-Pot編集部)