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和菓子店の店主が「マジかよ!?」 アルバイト歴5か月が作った上生菓子の仕上がりに驚きの声が殺到

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

包餡から成形まですべてひとりで

アルバイト歴5か月のMさんが、4個目にして包餡から行ったはさみ菊【写真提供:黒和@和菓子處 吉祥庵 (湘デコ)(@kurokazu_45)】
アルバイト歴5か月のMさんが、4個目にして包餡から行ったはさみ菊【写真提供:黒和@和菓子處 吉祥庵 (湘デコ)(@kurokazu_45)】

 黒田さんは当初、はさみ菊にはオカメインコとは違う難しさがあり、これほどスムーズにうまくできるとは思っていなかったようです。

「冠羽は1枚切るだけですから、多少大きさにバラツキがあってもわかりません。しかし、はさみ菊は横1列すべての切り込みを、同じ大きさにそろえる必要があります。前の週に1個目を練習したときは、1段目を切ってから渡して、2段目を重ねて切るように指導しました。すると、いきなりそれなり以上にできてしまい、そのまま最後まで完成させてしまったんです」(黒田さん)

 Mさん本人よりも「びっくりしていました」と黒田さん。あまりに驚いて、そのはさみ菊を乾燥させ、先代であるお父さんの仏壇に飾ってしまったといいます。

 一方、Mさん自身は作っている最中、いろいろな難しさを感じていたそうです。

「はさみを入れる作業のみですと20分。包餡も含めると1個作り上げるのに30分ほどかかっていると思います。包餡に時間がかかってしまったため、手の熱で生地が柔らかくなり、切り口が伸びて切りにくく、花弁1枚の大きさをどれくらいにすれば良いのかがわからず難しかったです」(Mさん)

 素人目には、花弁の大きさはほぼ均一に見えますが、「うまく1周を切り終えることができなかった」とMさん。「まだまだ発展途上なので、上手く切れるようになるにはまだまだかかると思います」と、これからも研鑽を続けていきたいと語ります。

驚きの仕上がりにMさんの両親も大喜び

Mさんが両親とともに抹茶で楽しんだ実際の様子【写真提供:黒和@和菓子處 吉祥庵 (湘デコ)(@kurokazu_45)】
Mさんが両親とともに抹茶で楽しんだ実際の様子【写真提供:黒和@和菓子處 吉祥庵 (湘デコ)(@kurokazu_45)】

 ちなみに、4個目のはさみ菊は、両親には内緒で自宅に持ち帰り、とても驚かれたそう。食べるのがもったいないと話しながら、家族で取り分けて味わったそうです。

「見せたときの、母の野太い歓声が忘れられません(笑)。以前、練習2回目のはさみ菊も持って帰っていたので、前よりもうまくなっていると両親からもほめてもらえたのがうれしかったです。実は、あのはさみ菊の餡は、特別に私の好物である柚子餡にさせてもらったので、ペロッと食べてしまいました」(Mさん)

 黒田さんによると、あくまでも仕事を頑張ったご褒美として終業後に行っている、練り切り教室の一環のため、Mさんが作ったはさみ菊が店頭に並ぶ予定はないそうです。けれども、Mさんが今年の夏にある、おじいさんの新盆法要のお供えを自分で切りたいと話しているため、黒田さんは8月を目指して何種類かバリエーションを教えていきたいと考えています。