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「有名にならんでくれ」祖母は心配も… 伝統芸能の“お堅いイメージ”壊す 孫娘の決意
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「有名になるのが怖い、危ない」 “待った”をかける祖母
若きリーダーとして伝統の継承を任された奈々さん。その方針は、明確です。
「とにかく私世代に興味を持ってもらえるチームになりたいですね。伝統芸能はお堅いイメージがあるので、そこを壊して普通にもうバンドを好きになってくれるくらいの感覚で好きになってもらいたいなと。薩摩川内おどり太鼓と地元の名前が入っているので、地元ごと愛してもらえるようなチームになって、長く続いていけばいいなと思っています」
18歳から2年間、大阪の音楽専門学校でドラムを学び、世界のリズムを習得。ツービートを取り入れたほか、和太鼓をドラムのように並べて複雑な音を出すなど、新風を吹き込んできました。
「年配の方は和太鼓と聞いたら喜んで集まってくださるんですけど、大学生や私ぐらいの年代に見てもらえる機会がなくて……。見てもらうまでのハードルが高いのが今すごい悩みなんですよ」
20代を中心とした若い世代に、どうすれば届くのか。
そこで活用したのがSNSです。YouTube、インスタグラムに続き、今年3月からTikTokを開始しました。初回のライブ配信は2000回以上視聴され、上々の滑り出しに。音楽と踊りは親和性が高く、若者へのアピールになりました。県外のイベントにも積極的に参加し、知名度の拡大にまい進する日々です。
一方で、こうした方針は、創始者である祖母の考えとは異なります。
「祖母からは『有名にならんでくれ』とずっと言われていますね。有名になるのが怖い、危ないって。地元で小さくやっていくので十分だと」
注目度が増せば、その反動もあります。特にSNSは露出すればするほど、リスクが高まります。それならば、メジャーにならなくても、地域の人々の娯楽として存続していけばいい。より多くの人に薩摩川内おどり太鼓を知ってもらいたいと猪突猛進する孫娘の身を、80代の祖母は案じていました。
ただ、やり方は違っても、祖母と目指すゴールは一致していると受け止めています。
「たたかれたりとかもあるので、そういうのを心配して言ってくれているんですけど、私も祖母もおどり太鼓自体はずっと続いていってほしいと思っています。そこは一緒なので、私はもっと県内だけじゃなくて県外の人にも広めて、こんなに素晴らしい文化があるんだよっていうのを認知してもらいたいなって思います」
海外への進出も「祖母の人脈あっての機会でしたが、挑戦したいと言ったのは私です」と積極的に働きかけました。
「フランスでの演奏がきっかけで、鹿児島に観光に来てくださるフランス人の方もいます。今年はもう移住すると言っていました。もともと私たちの演奏を見ただけだった人が、それぐらい鹿児島を好きになってくれて……」
文化交流が果たす影響の大きさを奈々さんは実感を込めて語りました。