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女児出産も「ベテラン看護師は泣き崩れた」 絶望の育児、アメリカ人夫に反発…つかんだ家族の幸せ
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ガードナーさん「パーフェクトじゃないところを責めない」
さまざまな壁を乗り越え、まりいちゃんは現在、支援学校に通っています。
「最初バスに乗るのも大丈夫かなと思っていましたが、1日目から普通に乗って『行ってきます』という感じでした」とガードナーさん。給食も2回おかわりする日もあるなど、元気いっぱいです。
まな娘の成長した姿に、ブルースさんは感無量です。「すごく感動しています。まりいは完璧じゃないけど、話そうとしている。幼稚園のときより成長している。彼女の理解を広げて、コミュニケーションを取ろうと努力しています」。ガードナーさんは、「まりいちゃんが何か言おうとして、こっちが分からないと、ため息つくんです。『ハァ、ダメだなこいつらは』みたいな笑」と穏やかな日常を思い浮かべました。
ダウン症児を育ててきた経験を少しでも知ってもらおうと、今年3月、『ダウン症それがどうした!?と思えるママになるための100のステップ~まりいちゃんが教えてくれたこと』(発行:東京ニュース通信社 発売:講談社)を出版。自身のSNSを通しても、情報を発信しています。
「私は優しくなりました。長男と長女が棒を持って道で闘っていると、すぐにダメ! って怒っていたのが、まりいちゃんが生まれて、棒で闘うのもいいかもね、みたいになって(笑)。パーフェクトじゃないところを責めないで、それで大丈夫だ、そう思えるようになりました」
寛容になったのは、小学校で教師をしているブルースさんも同じです。「いつも怒っているけど、大丈夫。ああ、そんなに悪い子だ。でも、僕はあなたを愛している。そう、ただの子どもだ。大好きだよって切り替えるようになりました」とうなずきました。
ブルースさんの“宝物”…元仏大統領の写真に込められた意味
まりいちゃんのおかげで、ダウン症に対する興味も広がっています。
「いろんな国のダウン症の家族に会いに行きたいですね。フィリピンの人に話したときには(ダウン症児は)神様みたいに扱われてるよとか、中国は療育がすごくいいよという話も聞きました」と、ガードナーさんは笑顔。ブルースさんはフランスの元大統領シャルル・ド・ゴールの写真をコピーし、“宝物”として持ち歩いています。膝の上にはダウン症の次女アンヌの姿がありました。
「彼はいつも怖い人だったけど、この一番下の娘の前にいるときは、すごく優しい人だった。この時代、このくらいのお金持ちだったら、自分で育てないで施設に入れてしまうのが普通だったけれど、彼はそのようにはしなかった」。歴史の偉人から学ぶ、向き合い方。「とても面白いです。時間があればずっとこれを勉強していたいんだけど、僕はお金を稼がないといけないから」と自嘲しました。
ガードナーさんはまりいちゃんが生まれたとき、ニュージーランド人のママから言われた言葉を思い出します。
「あなたとまりいちゃんは開拓者にならないといけないよね」
ダウン症、そして父がアメリカ人というバックグラウンドもあり、特別な個性があるという意味が込められていました。
「だから荒地をガガガガガと。例えばダウン症の人のインスタって、こんな療育がおすすめです、みたいな真面目なものが多いけれど、そっちじゃないんだろうなと思って。逆にダウン症のコミュニティーから出て、『ダウン症なんだ、この子』(と思われる)ぐらいでいいのかなと」
まりいちゃんの誕生により、深まった家族の絆。たどり着いた幸せ。その道はなおもかけがえなのない未来へと続いていきます。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)