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「まさか自分が…」と気づかず 介護と育児の“ダブルケア”、今後3人に1人が経験する予測も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・白石 あゆみ

自分が介護者であることに気づかないケースが多い(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
自分が介護者であることに気づかないケースが多い(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 女性の社会進出が進み、晩婚化・晩産化に伴って、育児と親の介護を同時に担う、いわゆる「ダブルケアラー」が新たな問題になっています。数年後には介護に直面するダブルケアラー予備軍も多く、子育てが終わるまでに3人に1人がダブルケアを経験するという予測も。そこで、フルタイムで働きながら実母を介護し、2人の子どもを育てる40代女性に話を聞いたところ、休業制度や福祉サービスは充実しつつある一方で、ダブルケアラー当事者の健やかな生活や活躍を阻む“見えない壁”の存在が浮かび上がってきました。ダブルケアの実態と、ダブルケアラーの増加が社会に与える影響とはどのようなものなのでしょうか。

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育児を担っていた同居の母が介護状態に

「まさか自分が介護者になっているとは、まったく気づいていませんでした」

 そう話すのは、重度の自己免疫疾患を患う実母を都内の自宅で介護しながら、私立中学校に通う2人の子どもを育てている40代後半のAさんです。ダブルケアと並行して、大手金融機関で働いています。

 ふたりとも産休のみで復職したAさん。夫は長年単身赴任だったため、出産を機に関西で暮らしていた母が育児を手伝いに来てくれるようになり、やがて同居することになりました。母は10年近くの間、家族の公私バランスを支えてくれる大切な柱でした。

 ところが、その均衡が崩れたのは、下の子が小学1年生だった7年前。母が原因不明の足の痛みを訴え始め、あっという間にまともに歩けなくなってしまったのです。ようやく診断がついたのは、痛みを感じ始めてからおよそ1年後のことでした。

 当時、子どもたちはふたりとも小学生。まだまだ手がかかる時期ですが、仕事で遠くに暮らす夫の手を借りることはできません。Aさんはひとりで家事育児をこなし、自宅での母の介助や有休を使って通院に付き添うなど、知らず知らずのうちにダブルケアラーになっていたのです。