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選手村食堂は「6000円の価値は全くない」 日本人が見た五輪の裏側 セーヌ川クルーズで衝撃 一番の思い出は…
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熱戦が続いたパリ五輪も11日に閉幕します。日本勢のメダルラッシュに列島が歓喜に包まれる一方で、開会式の内容や選手村の食事が議論を呼ぶなどさまざまな課題も浮き彫りになりました。実際、五輪に携わった日本人は何を感じたのでしょうか。フランスから帰国したばかりの関係者に詳しい話を聞きました。
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「選手村のフードコートはワンデーパスだとだいたい6000円ぐらい。過去の大会はアイスクリーム、お菓子があったけど、今回はそういうのも少なかった。ステーキ系の肉類も少ないですね。東京五輪のフードコートと比べると雲泥の差。6000円の価値は全く持ってなかったです」
こう話すのは、まつもと接骨院グループ代表の松本宗三さんです。トレーナーや柔道コーチとして五輪への参加や帯同はこれが6大会目。今回は東京都柔道整復師会と協力して、オセアニア国内オリンピック委員会(ONCO)を支援。選手村のメディカルルームでケアを行った柔道整復師の伊藤唯人さんとともに現地に滞在しました。
3年前の東京大会ではアイスやお菓子は種類も豊富で、海外選手の間でも好評でしたが、パリ大会は苦言が相次ぎました。バイキング形式の食事は通常ワンフロアに置かれていますが、「今回はアジア料理やヨーロッパ料理というように個室に区切られて置いてあったので、取りにいくのも難しかった」と“動線ミス”も指摘。「ドリンクもファミレスに置いてあるようなサーバーで、ペットボトルではなかった」。2012年のロンドン五輪は約2500円と半額以下で質も満足な食事ができており、物足りなさは否めなかったと言います。
一方、対照的だったのは屋外の売店です。ハンバーガーやマフィン、ヨーグルトなどが提供されており、伊藤さんは「個人的には悪くなかった」と話しました。選手村ではノルウェーの競泳代表クリスチャンセンのSNSへの投稿をきっかけに、チョコレートマフィンが大ブームになりました。
選手村では部屋にクーラーがないことも話題になりました。ONOCはエアコンを前持って発注していましたが、朝晩の涼しさからキャンセルしたそうです。しかし、松本さんは「昼間は暑いですよね。食事にしても生活スペースにしても環境をよくしてあげないと選手は最高のパフォーマンスは出せないです」とし、「エアコンは必要だった」と結論づけました。最高気温は35度に達した日もあり、昼夜問わず半袖です。床下に冷却システムを導入していても、熱がこもりやすい室内は対策が必要だったと訴えました。