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「ツッコミどころ満載な“余白”が魅力」 夏の終わりの昆虫標本作り 子どもと作れる工夫に目からウロコ
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お盆が過ぎ、楽しかった夏休みも終盤。カブトムシやクワガタムシといった、夏を代表する昆虫たちの活動期間もまもなく終わります。ひと夏の思い出を形に残したい人は多いでしょう。家族で昆虫採集を毎年しているという、茨城県で兼業農家を営むこばやしなつみさんは、子どもたちとともに昆虫標本を作っています。なるべく工程をシンプルにし、子どもでもトライしやすいように工夫。今回は、その方法をレクチャーします。
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原木シイタケが育つ雑木林からうれしい副産物
我が家の裏にある雑木林では、春先から夏にかけてたくさんのクワガタムシやカブトムシと出合えます。その大きな理由のひとつは、原木シイタケを露地栽培しているからです。
原木シイタケの育ち方はシンプル。伐採したクヌギやコナラの原木に複数個の穴を開けて、シイタケの菌を打ち込むと、約2年後に原木からシイタケがポコポコと顔を出して収穫できるのです。
その「ホダ木」と呼ばれるシイタケ菌を打ち込んだ原木の周辺が、カブトムシやクワガタムシなど、虫たちの産卵や育つ環境として好条件なのです。秋冬にホダ木をひっくり返すと、土の中でカブトムシの幼虫が元気に動いていたり、フンをしている様子が見られたりします。とくに、直近4年でホダ木を少しずつ増やしながら雑木林を手入れしているなかで、虫たちに出会う機会が年々増えていることを実感します。
カブトムシの成虫を見つけられる時期は、地域や種によって違いますが、我が家がある関東近郊では6月下旬から8月いっぱいまで。クヌギの木の根元や、樹皮から甘い樹液が出ている場所に日々集まってきます。
一方で、クワガタムシの仲間はカブトムシに比べると活動温度の範囲が広く、長く採集や飼育を楽しめる点が子どもたちにとって魅力です。最近では、真冬でも春のように気温が高い日があったりして、コクワガタだと2月に朽ちた木の中から成虫が見つかることも。ノコギリクワガタは6月上旬あたりから確認できて、カブトムシより少し早く見つかる傾向にあります。
採集したカブトムシやクワガタムシが死んだらどうする?
我が家では、毎年6月から子どもたちによる昆虫採集が始まり、採ったり逃がしたりを繰り返します。そのなかの何匹かを自宅で飼育しますが、8月には命尽きてくる昆虫たちがだんだんと出てきます。
そこで、3年前から子どもと一緒に標本作りをしています。我が家の原木シイタケのホダ場では採れないミヤマクワガタを、子どもが近隣で採集できたことも大きなきっかけでした。
採集した昆虫の死後の扱いについては、採集した場所へ返す、もしくは燃えるゴミとして処理するなどが挙げられます。しかし、飼い主である子どもは、一定期間を一緒に過ごした昆虫を簡単に手放すのが惜しくて、標本を作ることにしました。