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実はコスパ買いは有効じゃない? 意外に知らない食用油 用途や目的別の選び方のコツとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

食用植物油が酸化するメカニズム

 食用油には酸化しやすいものと、酸化しにくいものがあるといわれています。同じ保存状態の場合、酸化のしやすさは何によって決まるのでしょうか。荒井さんは「食用植物油の酸化については、脂肪酸の種類と割合、そして、抗酸化物質の存在が影響します」と言い、まず酸化しやすい構造について説明してくれました。

「脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸はまっすぐな形、不飽和脂肪酸は折れ曲がった形をしています。酸化は簡単に言うと、脂肪酸に酸素がくっつくこと。折れ曲がった部分は酸化しやすいため、不飽和度(折れ曲がりの数)が多いほど酸化しやすくなるのです。

 たとえばEPAやDHAは折れ曲がりの数が5個や6個、α-リノレン酸は3個、オメガ6系脂肪酸のリノール酸は2個、オレイン酸は1個と脂肪酸によって数が異なります」

折れ曲がった場所に酸素が結合すると酸化が起きる【画像提供:日清オイリオ】
折れ曲がった場所に酸素が結合すると酸化が起きる【画像提供:日清オイリオ】

 一方で、食用植物油が多く含む抗酸化物質が、酸化を抑える働きもあるそう。

「ビタミンEはその代表例で、とくにヒマワリや綿実からとれる油に多く含まれています。また、オリーブオイルには、ポリフェノールという抗酸化物質が。植物が持つ抗酸化の力は植物油の中でも、そして私たちの体の中でも、働いてくれるのです」

 つまり、脂肪酸の種類と割合、抗酸化物質の存在から、不飽和脂肪酸が少なめのもの、酸化を抑える抗酸化物質を多く含むものが、一般的に酸化しにくい食用油といえます。

保存版! 酸化しにくく汎用性の高い食用植物油とは

 一般的に、家庭で使う食用油は酸化されると、味や風味が落ちやすくなります。最後までおいしく使い切るため、酸化しにくいものを選びたいと考える人もいるでしょう。そこで荒井さんのお話をもとに、「酸化しにくい」と「用途の広さ」を軸に食用植物油をマッピング。食用油を買うときに迷ったら参考にしてほしい、保存版のマトリクスを作成しました。

食用油を選ぶときに参考にしたい「酸化しにくい」「用途の広さ」【画像:Hint-Pot編集部】
食用油を選ぶときに参考にしたい「酸化しにくい」「用途の広さ」【画像:Hint-Pot編集部】

 こうした特徴による食用植物油の選び方もありますが、家庭で使う際は保存方法にも気をつけたいところです。荒井さんは「不飽和脂肪酸の多い食用植物油は、酸素と触れる機会を減らすことが重要です。開封後は容器中に入った酸素によって、保存中に酸化されることもあります」と説明。

 一般的な食用植物油に「開封後は冷暗所保管」と記載されている理由は、「光や熱の影響で酸化が進むため」だといいます。