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【私の家族】「もう犬は飼わない」 16年連れ添った先代犬の旅立ちでペットロスに 銅版画家・山本容子さんと保護犬の運命的な出会い

公開日:  /  更新日:

著者:Miki D'Angelo Yamashita

たくましさあふれるルーカス

ルーカスと山本さん【写真提供:山本容子】
ルーカスと山本さん【写真提供:山本容子】

 ルーカスは、子犬の頃から手がかからず、たくましさがありました。野生性が強かったので、1匹で外を出歩くこともあったそうです。

「あるとき、軒下に穴を掘って、足を突っ込んでうずくまっていたんです。自力で治そうと、冷やしていたのでしょうか。バイクにでもはねられたのか、けがをした様子でした。病院に連れていったところ、十字靭帯を切ったという診断。結果、おしりの筋肉を移植するという大けがだったんです」と、山本さんはルーカスの思い出を振り返ります。

 最後は脳溢血になり、片耳が聞こえず、片目も見えなくなりましたが、それでも耳を立てて壁伝いに歩いていたルーカス。まるで自分でリハビリをしているかのように頑張る姿を、感心しながら見守っていたそうです。2003年、推定16歳で、山本さんの腕の中で虹の橋を渡りました。

 亡くなったルーカスの体の寸法に合わせて板を切ってもらい、組み立てて色を塗り、棺を作った山本さん。庭に埋め、その横に山桜を植えました。亡くなって20年が経ち、やっと花を咲かせたそう。「これで天国に行ったね、土に還ったんだと感慨深い思いでした」と言います。

「実は、絵にするつもりで50号のキャンバスの上に亡骸を置いて、サイズを測って型を取りました。うまくルーカスを復活させられるか自信がなくて、そのキャンバスは今も保管したままなんです」