からだ・美容
妊活の第一歩は健やかな体づくりから 「減らす」のではなく「整える」食生活とは
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実

妊活中の健やかな体づくりに不可欠なのが、日々の食事です。とくに、若い女性の低体重や、低栄養による健康リスクが懸念される今、妊活中の食生活について何を心がけていけば良いのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
◇ ◇ ◇
痩せすぎは月経周期異常や不妊を引き起こすリスクも
私たちの体は、日々の食べ物から作られています。食べ物から得た栄養素は、エネルギー源になるだけでなく、細胞一つひとつの材料となって、健やかな体を保つために重要な働きをします。これから妊娠を目指す方は、毎日の食事にも意識を向けていきましょう。
「太りたくないから」と、食べる量を極端に減らしている方もいるかもしれませんが、体重は少なすぎても健康に良くありません。今年4月、これまでメタボリック症候群など「太りすぎ」に警鐘を鳴らしてきた日本肥満学会が、18歳から閉経前の女性を対象に「女性の低体重/低栄養症候群」という「痩せすぎ」に関する警告も出しました。
同学会の発表では「低体重や低栄養は、骨量の低下や月経周期異常をはじめとする、女性の健康に関わるさまざまな障害と関連している」ことに着目。若い世代の体重の減少や低栄養は、月経周期の異常や排卵障害、長期的には不妊や妊娠合併症を引き起こす可能性があることを示唆しています。
日本の20代女性の約5人に1人は低体重
実際に日本では、20代女性のおよそ5人に1人が低体重(痩せ)に該当し、この割合は、先進国のなかでもとくに高いことで知られています。「痩せ」かどうかを判断する指標として用いられるのが、国際的な体格指数のBMI(ボディ・マス・インデックス)。「体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)」で計算します。
もちろん、筋肉や脂肪の量など、体の組成によっても個々の健康状態は変わりますが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、目標にするBMIは男女とも18~49歳で18.5~24.9。つまり、このBMIが18.5未満は「痩せ」、25.0以上は「肥満」です。
たとえば、身長158センチで体重45キロの人の場合で計算してみましょう。BMIは「45÷1.58÷1.58」で約18.0、「痩せ」になります。目標とするBMIのなかでも最も病気になりにくいといわれるBMIは22で、158センチの人ならば、体重は10キロ増の約55キロが必要です。「痩せ=美しい」の価値観から見れば、やや「ぽっちゃり」に思えるかもしれません。