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食欲の秋 旬のサケとサバは、どっちが栄養面で優れている?
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実

サケとサバは一年中、店頭で見かけるため、あまり旬を気にすることがないかもしれません。しかし、実はどちらも秋においしい季節を迎えます。家庭の食卓でもおなじみの魚ですが、栄養面ではどちらが優れているのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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今の季節は、秋鮭と秋サバが主流
ひとくちにサケやサバといっても、季節によって主に出回る種類は異なります。一般的には、とくに秋(9月~12月)に産卵のために海から故郷の川に戻る白鮭を「秋鮭」、越冬や産卵準備のために南下するマサバを「秋サバ」と呼びます。秋の味覚として親しまれ、食卓に季節感を添える存在です。
どちらも主な栄養成分は変わらず、良質なたんぱく質や脂質などを含んでいます。とくにたんぱく質は、筋肉や臓器などをつくる材料として欠かせない重要な成分のひとつ。またEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった魚の脂質(魚油)は、「不飽和脂肪酸」に分類され、体にとって大切な栄養素です。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに、秋鮭(白鮭)と秋サバ(マサバ)の主な栄養価(100グラムあたり、生)を比較すると、次の通りです。
〇エネルギー
秋鮭:124キロカロリー
秋サバ:211キロカロリー
〇たんぱく質
秋鮭:22.3グラム
秋サバ:20.6グラム
〇脂質
秋鮭:4.1グラム
秋サバ:16.8グラム
大きな特徴としては、秋鮭のほうがたんぱく質は多く、秋サバのほうが脂質やカロリーは高めです。脂質に関しては、約4倍も差があります。
次に、それぞれに含まれる特徴的な栄養成分をみていきましょう。
秋鮭の栄養メリットとは
秋鮭は、脂質が控えめで低カロリーですが、骨の健康や免疫力の維持に役立つビタミンDが豊富です。秋サバと比較すると、6倍以上も含んでいます。
サケ全般にいえますが、特徴的な栄養成分は、赤い色素であるアスタキサンチンです。強い抗酸化作用があり、老化や生活習慣病の予防が期待できます。近年、美肌にも良いと注目され、化粧品にも配合されている成分です。
焼いたり、蒸したり、さまざまな料理でおいしいサケですが、脂が少ない秋鮭だからこそ、バターなどの油脂を使った料理がおすすめです。ビタミンDやアスタキサンチンは脂溶性なので、吸収率アップも期待できるでしょう。塩、コショウで下味をつけたあとに、小麦粉をまぶしてバターでカリッと焼き上げるムニエルなどもおすすめです。