からだ・美容
銀杏に潜む危険性 「加熱すれば安全」は誤解? 中毒を引き起こす可能性も 食べるときの注意点を医師に聞いた
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「加熱すれば安全」は危険な誤解
「銀杏は加熱すれば毒性が弱まる、または消える」という説がありますが、これは大きな誤解です。結論から言うと、加熱しても毒性(MPN)はほとんど減りません。
原因物質であるMPNは熱に強いため、炒る、焼く、ゆでるなどの一般的な調理法では分解されないのです。「火を通したから大丈夫」と油断してたくさん食べてしまうと、中毒を起こすリスクが高まります。
塩炒りや茶碗蒸しなど、料理の風味を引き出し、おいしく食べるために加熱は欠かせませんが、毒性を減らす方法ではないことをぜひ覚えておいてください。
大人は飲酒時の多量摂取に注意
銀杏中毒は、MPNに対する感受性(どれくらいの量で中毒になるか)に大きな個人差があります。その人の体格、年齢、そして体内のビタミンB6の保有量などによって、安全な量は変わってくるため、一概に適量が「いくつまで」とは言えません。
5歳未満の乳幼児には食べさせないほうが賢明でしょう。小児は体が小さく、神経系も未熟なため、わずか数粒(5~6粒程度)でも重篤なけいれんを起こしたという報告もあります。
大人の場合は医学的に「ここまでなら絶対に安全」という明確な基準はありませんが、一般的に注意喚起されている目安としては、1日数粒~10粒程度にとどめておくのが安全です。
一度に何十個も食べたり、毎日摂食したりするのは避けてください。また、飲酒時はよりリスクが上がるため注意しましょう。秋の風物詩として、「少量を味わう」という意識を持つことが大切です。
林外科・内科クリニック理事長。国立佐賀医科大学卒業後、救急や外科医として診療経験を積み、2007年に父の診療所を継承。現在は外科医の父と放射線科医の妻とともに、医療・介護の両面から地域を支える有床診療所と老人ホームを運営。福岡県保険医協会会長として医療情報の発信にも尽力。日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医ほか多数の資格を保有。
(Hint-Pot編集部)
