仕事・人生
「お金は湧いてこないのよ」 母の厳しい言葉が原動力に 宝塚元トップ男役・えまおゆうさんを支えた“悔しさ”という名のエネルギー
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インタビュアー:竹山 マユミ

宝塚歌劇団という唯一無二の夢の世界を卒業したあとも、舞台や演出、社会活動、そして人生そのものにおいて、自分らしい“今”を輝かせ続けるOGたち。新連載「華麗なる決断力~きらめきの続き~」では、そんな彼女たちをクローズアップします。今回は、確かな実力で雪組トップスターとして活躍した、えまおゆうさんが登場。パワフルなエネルギーの源や男役トップとして極めた当時の心境に、宝塚をこよなく愛するフリーアナウンサー・竹山マユミさんが迫りました。2回にわたってお届けします。
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「あんなくさい芝居やるの?」
竹山マユミさん(以下、竹山):まず、宝塚を目指されたきっかけを教えてください。
えまおゆうさん(以下、えまお):きっかけは、11歳上の姉の影響です。姉はフォーリーブスの追っかけをしていたんです。当時は、今よりも厳しい時代で、門限も厳しく……。そんなとき、父が「女だけの世界なら安心だろう」と言って、宝塚を見せてくれたのが始まりでした。
竹山:お父様がきっかけを?
えまお:父は歯科医で、宝塚の関係者や振付家の方が患者さんとして通っていたんですよ。そういう縁もあって、自然と宝塚の世界が身近になっていきました。
竹山:すごい環境ですね。えまおさんにとっても近い存在だったのですか。
えまお:はい。宝塚の方が家に遊びに来ることもあって、子どもの頃から「宝塚」がすぐそばにありました。
竹山:ご家族のなかでお姉様も宝塚への憧れがあったのですか?
えまお:そうなんです。姉が「どうしても宝塚に入りたい」と言い出して。でも叔父(劇作家の矢代静一さん)が「あなた(姉)は向いてないけど、末っ子(私)は何か持っている」と言ったんです(笑)。それで姉が「じゃあ、あんたが入りなさい」と。
竹山:当時のえまおさんはどう思われました?
えまお:「えー、あんなくさい芝居やるの?」って言っていたそうです(笑)。でも、中学に上がる頃に進路を考えるようになって、叔父が母に「やっぱりあの子を入れたほうがいい」と話して。それを聞いた姉が「叔父が言うなら、もうやらせるしかないわね」と言って、そこから受験に向けて動き出しました。
