仕事・人生
時間厳守や“報・連・相”が保育の質を変える 日本式マネジメントをインドネシアに 日本企業の女性の挑戦
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日本の“報・連・相”が生んだ意外な好影響
また、日本企業で学んだ“報・連・相”も、ユリコさんがとくに重視してきたポイントのひとつです。
「チームで子どもを支えるためには、細かな情報共有が欠かせません。日本では当たり前ですが、最初は戸惑うスタッフも多かったですね」
給食のアレルギー情報、担当保育士の配置、子どもの様子など、ひとつ見落とせば事故につながる可能性もあります。そのため、保育士同士の情報共有の仕組みを徹底しました。こうした丁寧なコミュニケーションの積み重ねが、スタッフの定着率にも好影響を与えているといいます。
「おかげさまで、転職率はかなり低いです。他園では先生が頻繁に入れ替わると聞きますが、うちでは園の再開から3年以上、ずっと働いているスタッフがほとんどです」
日本式行事の導入 ゼロから始めた運動会

さらに、日本の保育園でおなじみのイベントを取り入れることも、スタッフたちの結束に役立ちました。園児だけでなく、現地で生まれ育った園長や保育士にとっても「運動会って何?」「どう企画するの?」という未知のもの。導入のハードルは高かったといいます。
「最初は、私が手探りで計画を立てて実行してもらい、翌年は企画から運営まで保育士主体で進めてもらいました。実際に動画を観てもらうなどして、スタッフたちに日本の運動会とはどんなものかを説明しながらでしたが、みんな積極的に取り組んでくれました」
そうして、少しずつ形になっていった日本式行事。運動会だけでなく、お楽しみ会も開催しました。根底にあるのは、どの国の保育士も同じ、ある思いだとユリコさんは語ります。
「一番大事なのは、園児たちが楽しんでいる姿を見たいという気持ち。これは世界共通だと思います」