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いじめ拡散は「二次加害」 スマイリーキクチが「きれいごと」批判に猛反論、私刑が被害者を追い詰めるワケ
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全国で19人を一斉摘発も、結果的には書類送検された全員が不起訴に

事態が解決に動き始めたのは、最初の書き込みから9年が過ぎた08年のこと。「100人くらいの刑事さん、弁護士さんに会って、ようやくネット犯罪に精通し、捜査に積極的な担当刑事さんにたどりついた。それから解決までは早かったです」。担当刑事は裁判所を説得して捜査令状を取得。半年ほどで刑事告訴まで進み、捜査により特に悪質な書き込みを行っていた全国の19人が一斉摘発されました。
「何人かは取調べ中に『謝罪します。反省しています』と供述していたそうですが、誰1人として直接謝罪に訪れることはなかった。『謝罪します』という言葉も目的はそれによる減刑で、刑事さんから聞いた話では、みんなが『自分はだまされただけ』『私は被害者だ』と罪の擦り付け合いをしていたそうです」
結果的には、書類送検された全員が不起訴に。東京地検の検察官からは「この人たちにも未来がある」と告訴状を取り下げるように言われたといいます。
「法に対するものすごい不信感を感じました。法律はあくまで社会のルールに過ぎず、被害者の心情に寄り添ったものではないんだと。驚いたことに、インターネットについて何も知らない検察官に『加害者の名前とかをネットに書いてもいいですか』と尋ねると『ブログなら公表しても構わないですよ』と話していた。横にいた事務官の人は絶句してましたけどね」
やり場のない思い。キクチさん自身、何度か相手の個人情報をさらそうと考えては、そのたびにぐっとこらえて思いとどまったと振り返ります。
「もしネットに個人情報をさらしたら、中には潰れてしまう会社もあるでしょう。関係のない人たちが路頭に迷ったり、無関係なお子さんが学校でいじめられることにもなる。それは正義の暴走で、負の連鎖しか生まないと。それに、もし名誉毀損で訴えられたら、逆にこちらが多額の賠償金を払わなくてはならなくなる。世の中は不条理なものなんだと痛感しました」
