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抜けた乳歯は枕の下へ 子どもたちの“歯磨き習慣を育てる”米国の素敵な風習とは
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親も子どもの成長を改めて噛み締める“トゥース・フェアリー”の習慣
夫婦揃って日本で生まれ育った私たちが「妖精の存在」を初めて知ったのは、長女が通うアメリカの学校の図書館から借りてきた1冊の本でした。
“トゥース・フェアリー(Tooth fairy)”と呼ばれる女の子の妖精が抜けた歯を抱えて、それと交換に1ドルを置いていく物語に、おとぎ話が大好きな娘は目をキラキラ輝かせて喜んでいたことを思い出します。
初めて歯が抜けたその夜、娘は小さな歯を枕の下に、それはそれは大切に入れて眠りにつきました。
さて、“妖精1年目”の夜、私は娘が起きないかドキドキしながら枕の下をそっと手で探り、小さな歯にたどり着きました。しわを伸ばし、音が出ないように1ドルをそろりと入れた後、大人の歯が生えてくるほどに成長して、いつの間にか大きくなった子どもの手や足を眺めました。
本当に妖精がいたら、こうやってしばらく部屋に佇んでいるのではないかと思うほどに、寝付いた後の時間はゆっくりと穏やかに流れていきました。
翌朝、「わぁー! “トゥース・フェアリー”が来たー!」と大喜びで私を呼んだ長女。現在、11歳になりほとんどの歯が抜け変わりましたが、その喜ぶ姿は“歯抜け全開”の8歳になる次女に受け継がれました。これから数年で歯が抜け出すであろう、5歳の三女はそれを見て、「早く抜けないかな」と楽しみに待っているようです。
“トゥース・フェアリー”の言い伝えによれば、歯はきれいでないと持っていってくれないようなので「みんな、よく磨き、歯をきれいにしておこうね」と話しています。
さて、娘たちのおかげで時々妖精になることができる私ですが、いただいた子どもたちの歯は、それぞれ小瓶や小さなアクセサリー入れの中に入れて、へその緒や初めて切った髪の毛とともに棚の奥の方に保管してあります。大人になっていく成長の過程や証を私自身が大切にしたいと思うからです。