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「ベンツのミニチュアカーみたい」 同期の言葉に納得 元花組トップ娘役が男役から転向を決意した理由

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

輝かしい経歴を誇る元花組トップ娘役の若葉ひろみさん【写真:くさかべまり】
輝かしい経歴を誇る元花組トップ娘役の若葉ひろみさん【写真:くさかべまり】

「今の自分は、本当にこの場所が最適なの?」――。仕事に慣れ、責任ある立場を任されるようになると、そんな不安に直面することもあるのではないでしょうか。自分らしい「今」を輝かせ続ける宝塚歌劇団OGたちをクローズアップする連載「華麗なる決断力~きらめきの続き~」。今回登場するのは、元花組トップ娘役の若葉ひろみさんです。かつて、将来を嘱望される男役から娘役へと異例の転向を果たし、伝説のヒロインとなった若葉さん。「自分が最も輝ける場所」を自ら選び取った当時の決断などについて、宝塚をこよなく愛するフリーアナウンサー・竹山マユミさんが迫りました。

 ◇ ◇ ◇

「少女歌劇」の伝統が育んだ、現実を忘れる夢の舞台

 1975年に第61期生として入団した若葉ひろみさん。当初は男役としてキャリアをスタートさせましたが、入団6年目に娘役へと転向。その後わずか1年足らずで花組トップ娘役に就任するという、異例の軌跡を辿りました。松あきらさん、順みつきさん、高汐巴さんという3人の個性豊かなトップスターを支え、1980年代の花組に黄金時代をもたらした伝説のヒロインです。

竹山マユミさん(以下、竹山):若葉さんの現役時代を振り返ると、今の洗練された舞台とはまた違った、個性のある夢の別世界という魅力がありました。

若葉ひろみさん(以下、若葉):そうですね。今は技術もレベルアップして素晴らしいです。私たちの頃は、時代も価値観も今とは異なりますが、当時の言い方を借りるなら、「お嬢さんたちが、一生懸命に歌い踊る」という“まったり感”がありました。大先輩の淡島千景さん(29期)も「私は花嫁学校だと思って受けたのよ」とおっしゃっていて。お茶やお花を学ぶように、舞台を通じて作法や朗らかな精神を養う。そんな「少女歌劇」としての原点が、お客様に非日常の夢を与えていたのだと思います。

竹山:その中で培われた、一糸乱れぬ群舞のパワーも圧倒的でした。

若葉:舞台はひとつの画面なんです。2階席や3階席から見たとき、娘役のフレアスカートが蝶のように舞い、フォーメーションが万華鏡のように変わっていく。何十人ものパワーがひとつになる瞬間の感動は、宝塚ならではのもの。私は本当に宝塚が大好きで、この世界でお客様に喜んでいただくことばかりを考えていました。