仕事・人生
65歳、手術を決めた「元娘役」の覚悟 片側顔面痙攣に耐えた5年間、それでも「舞台に関わっていたい」細胞の叫び
公開日: / 更新日:
インタビュアー:竹山 マユミ

ある日突然、顔が思うように動かなくなり、笑顔を作ることさえ難しくなってしまったら――。自分らしい「今」を輝かせ続ける宝塚歌劇団OGの連載「華麗なる決断力~きらめきの続き~」。元月組娘役・春風ひとみさんを迎えた最終回は、闘病と再生の道のりに迫ります。5年来の顔の痙攣(けいれん)を克服するために2024年、リスクを伴う決断をしました。死生観すら変わる体験を経て、65歳となった今、故郷・日本橋で見つめる新たな景色とは。一歩を踏み出し続ける情熱の源泉について、フリーアナウンサーの竹山マユミさんが伺いました。
◇ ◇ ◇
役者だからこそ耐えられなかった、顔の痙攣
華やかな舞台裏で、春風さんは人知れず異変と戦っていました。顔の半分が予期せずビクビクと動いてしまう顔面の痙攣。それは、表情を武器にする役者にとって、あまりにも残酷な症状でした。
竹山マユミさん(以下、竹山):5年以上も不調を周囲に隠して舞台に立たれていたそうですね。心身ともにとてもおつらい状況だったのではないでしょうか。
春風ひとみさん(以下、春風):お芝居に集中している最中に、勝手に顔がビクッと動いちゃうんです。集中できずセリフが飛ぶ、思うように声が出ない。ボトックス注射を打ってしのいでいましたが、一生打ち続けるのはどうなのかという不安、そして何よりお客様に100%のものを届けられないことが一番つらく、手術に踏み切りました。
竹山:それほどまでに過酷な状況だったのですね。手術に対する不安や恐怖も、きっととても大きかったでしょうね。
春風:もちろん怖かったですよ(笑)。頭にメスを入れるわけですから。でも、『千と千尋の神隠し』のロンドン公演のあとに奇跡的にスケジュールが空き、名医にも出会えたんです。「今やったほうがいい」という先生の言葉に、最後は「下町っ子の潔さ」が出ましたね。「ダメなら次の人生考えりゃいいか」って、ゆだねたんです。
