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仕事・人生

65歳、手術を決めた「元娘役」の覚悟 片側顔面痙攣に耐えた5年間、それでも「舞台に関わっていたい」細胞の叫び

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

役者人生に寄り添ってくれた名医の細やかな心遣いに感動

感謝が絶えなかった入院の日々を語った春風ひとみさん【写真:増田美咲】
感謝が絶えなかった入院の日々を語った春風ひとみさん【写真:増田美咲】

 手術は予定よりも長引きました。しかし、麻酔から覚めた春風さんが真っ先に感じたのは、5年間自分を苦しめ続けたあの震えが消えた、確かな静寂でした。

 竹山:目覚めた瞬間のことは、今でも覚えていらっしゃいますか。

 春風:もう、はっきりと。「あ、止まってる」って確信しました。目覚めた瞬間に、あの不快なビクビクが一切なくなっていたんです。ただ、その喜びと同じくらい心に残っているのが、執刀してくださった先生の言葉でした。

 竹山:技術だけでなく、心に寄り添うようなやり取りがあったそうですね。

 春風:先生が術後に病室に来てくださり、「僕の母は声楽に携わっていて、春風さんの喉への不安がとてもわかるんです」と。声を傷めないよう、カツラを着けたときに手術痕が見えないよう、最善を尽くしてくださったのだと、胸いっぱいになりました。術後、翌日に病室でスクワットしていた私を見て、先生は驚いていらっしゃいましたが、役者としての私を丸ごと尊重してくれた先生には、感謝しかありません。

 竹山:素晴らしい出会いだったのですね。思いが伝わるご経験だったと思いますが、やはり「お芝居」が春風さんにとって特別なものだからですね。

 春風:お芝居はもう、私の細胞の一部かな。演じる側でも、作る側でも、サポートする側でもいい。何か自分の生活の中に演劇がないと、自分が自分でなくなっちゃうんです。その情熱があったから、あの怖い手術も乗り越えられたんだと思います。