Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

「ずっと寝ていても良い。焦らないで小さな一歩を」 上司のパワハラでうつ病発症の男性 「うつ×カフェ」の居場所づくりで当事者や家族に寄り添い続けるワケ

公開日:  /  更新日:

著者:古川 諭香

誰もひとりぼっちにならない社会を目指して

「うつCAFE」の運営だけでなく、就労支援の仕事にも携わっている佐藤さん。今後の目標は「うつCAFE」の開催日数や参加者を増やし、イベント運営のための寄付金がより多くの人から寄せられるように仕組みを整えていくことです。ゆくゆくはNPO法人を立ち上げて「うつCAFE」の実店舗を作り、一人ひとりの人生に寄り添う併走支援をさらに強化したいとも考えています。

「今は『うつCAFE』の開催後、参加者に個別面談を行って困り事を聞き、具体的なサポートをしています。たとえば、自立支援医療を使うと医療費の負担額が減ることなど、必要な福祉制度の情報を伝えています」

 佐藤さんは、自身がうつになったときに欲しかった居場所支援を行い、「うつCAFE」のコンセプトである“ひとりぼっちにしない社会“の実現を目指しているのです。

「うつCAFE」ではノンアルコールカクテルが提供されている【写真提供:佐藤康平(@kohe_barblue)さん】
「うつCAFE」ではノンアルコールカクテルが提供されている【写真提供:佐藤康平(@kohe_barblue)さん】

 今まさにうつ病を患い、深い苦しみを感じている人に向け、佐藤さんは「絶望しすぎないでほしい」と訴えかけます。

「ずっと寝ていても良いから、できるときに焦らないで小さな一歩を踏み出してほしい。SNSで偶然流れてきた福祉系のアカウントが気になったら、リプライやDMで情報を聞いてみるのも立派な一歩です」

 また、家族がうつ病になり、接し方に悩んでいる人には「家族間で解決しようとせず、支援者を頼ってほしい」とアドバイスを送ります。

「ずっと部屋で寝ていたとしても、本人は全力で闘っています。まずはそうした状況であることを理解することが大事です。一気にガラッと変わることを期待せず、然るべき支援機関につなぎ、様子を見守ってほしい」

 自身の体験を機に、言葉に出しづらい苦しみを抱えている人たちを支える道を選んだ佐藤さん。彼が作った居場所は当事者にとって、貴重なサードプレイスになっています。

(古川 諭香)