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「目が見えないことは不幸ではありません」 事故で視覚障害を負ったプロサッカー選手 35歳でJリーグ復帰 支えてくれた人への恩返しと新たな夢

公開日:  /  更新日:

著者:古川 諭香

「支えてくれる人に恩返しがしたい」 弱視になって見えた世界

 松本さんの原動力になっているのは「支えてくれる人たちに結果で恩返しをしたい」という思いです。実は、障害を負ってから個人スポンサーがつき、営業や広報活動を担う知人も現れました。

「なんのメリットもないのに、応援してくださって……。そういう人たちの支えがあって今は生活できているので、感謝しかありません。だからこそ、一日も早くチーム契約を結び、ピッチでプレーする姿を見せて恩返ししたいんです」

 自身が弱視(ロービジョン)になったことを機に、松本さんは新たな取り組みを始めました。2026年3月、大阪を拠点に、弱視の子どもたちを対象とした「運動教室」を立ち上げたのです。

運動教室での様子【写真提供:KLV】
運動教室での様子【写真提供:KLV】

「今までは、視覚障害=全盲というイメージしかありませんでした。でも、当事者になったことで、症状の個人差やそれぞれの当事者が抱える悩みの違いに気づいたんです」

 運動教室は毎月開催され、参加費は無料。小学生から高校生までが対象です。運動教室ではサッカーだけでなく、視覚に障害があっても安心して走れるように走り方を教えたり、音で縄の動きを把握できるよう鈴をつけた縄跳びを使ったりと、さまざまな運動を取り入れています。

 今まで出会った子のなかには、生まれてから一度も走ったことがない子どもや、学校の体育に参加できない子どももいたといいます。松本さんは、そうした子どもたちにも、体を動かす楽しさを知ってほしいと考えています。

 また今後、自身が他県のチームに所属することになっても運動教室を継続できるよう、体制作りも進めているそうです。

「不便さはありますが、目が見えないことは不幸ではありません。見えなくても運動を楽しめる場所や機会はあると伝えたいですし、自分がプロの舞台で戦う姿を見せることで希望を与えたいです」

 自身の経験を通して、視覚障害のある子どもたちにも運動を楽しめる機会を届けたいと考える松本さん。一日でも早くJリーグのピッチに立つという夢を追いながら、子どもたちの可能性を広げるための挑戦も続けています。

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(古川 諭香)