仕事・人生
「自分だけ楽しんでごめんね」 きこえない母をコンサートに誘わなかった後ろめたさ CODA女性が切り開いた新たな道
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きこえない・きこえにくい親を持つきこえる子ども(CODA)として育った、長谷川恵美理(@signsongEmily)さん。幼い頃から両親の通訳を担い、母とは「きこえる世界」と「きこえない世界」の違いを語り合ってきました。そんな長谷川さんが後に歩み始めたのが、「コンサート手話通訳」という道です。具体的にどのようにして形にしていったのか、その歩みを伺いました。
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音楽が好きな母に抱いた後ろめたさ
幼い頃から音楽が好きだった長谷川さん。聴覚障害のある母も、コンサートでは音楽が体に響く感覚を楽しんでいたといいます。長谷川さんはそんな母とコンサートへ行き、通訳をすることもありました。
ただ、自身が思いっきりコンサートを楽しみたいときには、母を誘わないことも。そんなときは、終演後に申し訳なさが押し寄せたそうです。

人生の大きな転機が訪れたのは、2013年のこと。我が子とともに訪れたコンサート会場で、母以外にも音楽を楽しむ聴覚障害者がいることを知ったのです。
しかし、話を聞くとMCの内容や歌詞、会場が盛り上がるタイミングがその場ではわからず、終演後にSNSで情報を集めていることを知り、胸が痛みました。
母と同じように、ほかのきこえない人たちも「この瞬間の感動」をみんなと一緒に味わいたいんだ。そう感じた長谷川さんは、コンサート手話通訳への道を歩み始めます。
コンサート手話通訳の必要性を知ってもらうことが初めの一歩に
当時、音楽業界でコンサート手話通訳の必要性を理解してもらうことは、簡単ではありませんでした。それでも長谷川さんはめげずに、コンサート手話通訳の必要性を主催者や制作側に説明し、理解を得るところから活動を始めたといいます。
そして、必要性を理解してもらったあとにも、課題がありました。実際のコンサートに手話通訳をどのように取り入れるかです。
「コンサートは、多くのスタッフが作り上げています。それまでいなかった存在を新たに導入していただくのは、簡単なことではありませんでした」
コンサート手話通訳の導入には、主催者や制作側の事情や抱えている課題を理解することも大切。長谷川さんは、そう感じたといいます。
「実践したときには、コンサートというエンターテインメントな場に対応する専門性もコンサート手話通訳には必要だと痛感しました」
聴覚障害を持つ来場者から意見を聞き、実践を重ねながら、きこえる人もきこえない人も楽しめるコンサートの在り方を模索していきました。
こうして試行錯誤を重ねながら活動を続けるなか、2018年には最愛の母が他界。コロナ禍では、活動の継続が危ぶまれたこともありました。それでも、活動を続ける原動力になったのは、コンサートできこえる人ときこえない人が同じタイミングで笑い、涙する姿でした。
「目標としていた光景が目の前に広がっていて。そういう瞬間に立ち会えることは、今もこの仕事を続けるエネルギーになっています」
