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マウスピース矯正には向き不向きがある! 矯正歯科単科開業医が語る“本当” 抜歯が必要な例とは?

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

一般的な矯正 難易度中程度で抜歯ありなら2年から2年半

 安易に早さを求めると、重大な事態を招くことがある歯科矯正。たしかに、長年生えているものを動かすのですから、それだけ時間もかかると考えるべきでしょう。高橋先生によると、一般的に治療はまず相談から始まり、器具や治療法、費用に関する大まかな説明もこの際に行うそうです。

「多くの矯正歯科単科開業医では相談の後、患者さんが受診を決断すれば、まずレントゲンや歯形を取る検査をし、少し時間をいただいて分析し、あらかじめお聞きしていた希望を踏まえての治療法を提案します。ここで同意に達すれば、治療を始めます。来院はだいたい月に1度。期間は症例によりますが、一般的に中程度の難易度で抜歯が必要な場合は2年から2年半ほどですね」

 一度始めると、途中で治療から脱落する患者さんはほぼゼロだそう。装置が固定式のため自身では外せないことも簡単に治療を投げ出せない要因ですが、抜歯したのに治療をやめてしまうのは本当にもったいない。また、治療が終わると後戻りを防ぐため、ほとんどの場合でリテーナーを入れます。この間の来院は3~4か月に1度、期間は2年から3年。後戻りは絶対に起きるため、欠かせない期間だそうです。

「キャリアが長くても細心の注意を払います。本来矯正治療は、それぐらいに難しいものなんですよ。矯正歯科治療とは治療がきちんと行われれば口の中の環境をベストの状態にすることができます。

 治療中はQOL(生活の質)が下がりますが、その期間を終えたさらに先の長い期間には大きなメリットがあります。その1つは、咬合の改善や配列の改善により、歯を失うケースが減ること。例えば、矯正歯科治療で歯を4本抜いたとしても、それ以上の歯が減らずにいけば問題ありません。28本あっても、途中で4本抜ける方が、よほど良くないですよね」

「すぐに治療した方がいい人」とは?

 歯科矯正とはなかなかの大仕事であると同時に、気持ちと費用に余裕があるならぜひやっておきたいものだと分かってきました。けれど、重い腰を上げるタイミングをいつにすれば良いのやら。高橋先生、すぐに治療した方がいい人ってどんな人ですか?

「お子さんですね。小学校低学年で歯が出ている出っ歯、または受け口だと、まずは相談をお勧めします。低学年であれば、大人にはできない骨格へのアプローチを含む治療が可能なケースもあります。大人の場合は成長が止まっていますので、焦らなくても大丈夫。治療開始が1年遅れたところで、ほぼ大差はありません」

 それよりも、時間をかけて医院を回り、診察やセカンドオピニオンなどで知識を得てから始める方が良い結果が生まれやすいそうです。とはいえ、何十年も持ち越すのも考えものだといいます。

「たとえば、70歳でやるなら30歳でやっておいた方が良いと思います。いい状態の期間が長くなりますから。だから、10年も20年も悩んじゃいけないと思いますよ。ただ1年ではそんなに変わらない。なので、困った治療を受けないように、しっかり準備をした方がいいです」

 そこで、日本臨床矯正歯科医会は「医院選びの6つのポイント=矯正歯科診療所が備えるべき6つのポイント」として以下を挙げています。参考にしてみてはいかがでしょう。

 
1.頭部X線規格写真(セファログラム)検査をしている。
2.精密検査を実施し、分析・診断した上で治療をしている。
3.治療計画・治療費用について詳細に説明している。
4.治療前に治療中の転医※や治療費精算の説明をしている。※転医とは、治療中にやむを得ず、診療所を替えること。
5.常勤の矯正歯科医がいる。
6.専門知識のある歯科衛生士、スタッフがいる。

 
 歯とは突然命に関わらないながらも、替えが効かない一生もの。コロナ禍で治療を考える人が増えているようですが、どこをどう治療すれば本当にベストなのか、ひとまずはじっくりと考えてからでも遅くありません。矯正歯科単科開業医の重要性を認識することも大切です。「急がば回れ」という言葉は、矯正歯科治療でひときわ強く心得ておいて間違いはないのかもしれませんね。

(Hint-Pot編集部)