インタビュー

耳が聞こえない女優 何度も夢を諦めた過去も 50歳になっても輝き続ける生き方とは

著者:中野 裕子

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忍足亜希子さん【写真:荒川祐史】
忍足亜希子さん【写真:荒川祐史】

 2021年は東京五輪とともにパラリンピックも開催される予定で、障がい者への注目度も高まっている。困難を克服し夢を実現する姿は、大きな感動を引き起こすだろう。芸能界にもハンディキャップを克服しながら、女優として活動を続けるろうの女性がいる。1999年、29歳で映画『アイ・ラヴ・ユー』の主役で女優デビューした忍足(おしだり)亜希子さん(50)だ。その後、結婚・出産、子育てをしながら女優業を続けているが、一つひとつ夢を叶えてきた忍足さんはどのように困難を乗り越えてきたのか、詳しい話を聞いた。

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ろうの女優・忍足亜希子さん 芝居未経験からデビュー作で新人賞を受賞

 元々、女優になりたいとは思っていませんでした。映画『アイ・ラヴ・ユー』はオーディションで選んでいただいたのですが、オーディションを受けたのは、20年来の親友に「挑戦しようよ!」と強く誘われたから。私は引っ込み思案で人前でお芝居するなんて恥ずかしい! と思っていたので……。お芝居の経験もなく、オーディションでも当然、うまく演じられなくて「これはダメだな」「まあダメ元だったから」と家族で話していたところ、ファックスで「合格」と届いたのでびっくりしました。

『アイ・ラヴ・ユー』の後、映画やドラマ、舞台で経験を積み、今見返すと我ながら「下手だなあ!」と思ってしまいますが(笑)、それでも、ろうの私が演じ、作品に関わることで聞こえない人の本当の姿を皆さんに知ってもらいたい、という気持ちが生まれ、ここまでやってきました。

 昨年は2本の舞台に出演。21年は18年ぶりに出演した映画『僕が君の耳になる』が公開になります。この映画出演を機に、事務所にお世話になることも決まりました。ろうだと、事務所と良い縁を結ぶことも難しく、ここ2年はフリーだったので。ろう者が演じられる役は限られチャンスが少なく、女優を続ける厳しさや困難は感じますが、講演会や手話教室、配信などもしながら、これからも生きている間は女優でいたいですね。