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監督って具体的に何をしているの? “今さら聞けない”日本プロ野球の基礎知識

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

福岡ソフトバンクホークスはなぜ強いの?

 勝敗だけではなく、そこに至る技術の進歩も魅力の1つなんですね。ただ、プレー経験がないとそこを見るのは難しいような……。例えば、現在の常勝球団が「福岡ソフトバンクホークス」だとは知っていますが、なぜ強いのかがさっぱり分かりません。

「チームは腕時計と一緒で、1つでも細かい部品が欠けていたら動きません。ソフトバンクはその各部門(部品)がチームを強くするために、どの球団よりも努力しているから強いのだと思いますよ。良い選手がいるのは言うまでもないですが、彼らが生まれているのは育成システムがしっかりしているから。そして、良い選手に育つ可能性のある素材をスカウトが九州を中心に発掘ができているのも大きい」

 楢崎さんによると、個人の技術をさらに伸ばす施設も整備され、選手が効率良くしっかりと練習をできているそうです。またこうして若い選手が育つと、先輩選手に良い意味での危機感が生まれるのだとか。

「エースの千賀滉大投手も主砲の柳田悠岐選手もドラフト1位ではないので、他球団も獲得できる可能性がありました。ホークスには獲得後に育て上げ、続けて努力し活躍する流れができています。他にも営業さんの努力で集客を増やしている点もありますが、すべての相乗効果によって強いのだと思います」

 何だかこれ、企業の運営と似た話のようにも? 新人の資質や潜在能力を見極めて採用し、実戦で通用するように教育して……。考えてみれば当たり前の流れですが、できていない組織も多いですよね。逆に考えれば「新人を育て続ける」というシンプルな意識を徹底するだけで、さまざまな面でプラスの効果があるでしょう。プロ野球からは組織運営の基本も学べそうです。

ドラフト会議は“監督だらけの福引大会“ではない!

 プロ球団が新人を獲得する手段として、毎年10月下旬に行われる「プロ野球ドラフト会議」があります。素人目に見ると、会議というより“フォーマルすぎる監督だらけの福引大会”に見えるのですが、あれは何を引いているのですか?

「白い封筒ですね。監督たちが引いたいずれかに『交渉権獲得』とハンコが押されたカードが1枚入っているんです。欲しいと思った選手を12球団で唯一指名(単独指名)した場合は、一本釣りとしてその選手と入団交渉に入ります。一方で、欲しい選手が他球団と重なったら、この白い封筒を使った抽選になります。ここでカードが当たれば、他球団も欲しいと思っていた逸材を獲得できるというわけです。あの箱の中には、その選手の運命が入っているんですよ」

 だから、スーツ姿の監督さんたちが子どものように喜んでいるわけですね。選手と球団にとって、とても大事なものだと分かります。

「それともう1つ、プロ野球界にとっても重要なんです。それは、戦力の均等化が保たれるから。自由競争にしてしまうと、人気球団にしか人が集まらない可能性もあります。日本のプロ野球はプロとアマチュアの間に古くからの規定があるので、選手の獲得を事前に協議する自由競争はできません」