どうぶつ
鉄道模型に横たわる“巨大ねこ”が大反響 「助けたつもりが助けられた」お店の物語
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1匹目を保護後、母ねこが偵察に来るように
「最初のねこがやってきたのは、小学校が二段階登校となり、送迎がパニックになっていた頃のことでした」
雨の中で動けず瀕死状態だった子ねこ。隣接する保育園の保育士が保護し、自宅で一晩中看病をしました。そして容体も落ち着いたため、ジオラマ食堂へ。児童たちに囲まれ、たくさんのパワーをもらってから、今度は寺岡さんの自宅へ連れ帰ったそうです。その後は家族が懸命に介護した甲斐もあって、子ねこはすくすくと成長。「シンバ」と名付けられました。
すると、シンバくんをお迎えしてから、1匹のねこがお店によく顔を出すようになりました。どうやらシンバくんの母ねこの様子。母ねこは店の前に置かれた長テーブルの上に乗って、店内を覗いては何度も子どもの行方を探していました。
「その母ねこが5月30日に隣のビルの勝手口で出産をしたこと、そして、野良ねことして2年半前からこの辺りに住んでいることなどを耳にしました」
そして梅雨で雨が続いたある日、寺岡さんは子どもたちから、隣のビルの入り口にねこがたくさんいることを教えられます。見に行くと、3匹の子ねこにおっぱいをあげる母ねこの姿がありました。
「ゆっくりとしゃがんで『こっちに来てごはん食べるか? どうせお客様は来られないし』と話しかけました。これまで家族連れに支えられてきたジオラマ食堂ですが、休業中に唯一玄関まで来たのが、家族連れと言ってもねこの家族だったのです」
シンバくんの母やきょうだいねこの保護をついに決心!
資金繰りにあえいでいた当時の寺岡さんたちにとって、「ねこを飼う」という概念はありませんでした。ところが7月18日の夜、2階の児童施設職員とミーティングをしていると1人の男性が訪れます。その男性は玄関までやってくる野良ねこ家族について、「里親を募るので保護しても良いですか?」と切り出しました。
「後日、彼はすごく温かく真面目な方と分かりました。ですが、当時は保護ねこに関する知識もなく、また仕事柄から不審者に注意していたこともあり、緊張感が走りましたね。しばらく説明を聞いているうちに『家族がバラバラにされる! 悪い奴だ!』と思っていました(笑)」
そこにたまたまいた児童の保護者が「家族をバラバラにするのだったら、協力するからここでみんな一緒に保護しよう!」と進言。寺岡さんはねこたちを迎えようと決心しました。
「今考えると、スタッフ一同、短期間でいろいろなことがありすぎて正常ではなかった気がします」
7月19日夜10時過ぎ、まずは保護用に仕掛けたおとりの箱で母ねこ(「サラ」お母さん)を保護し、避妊手術を受けてもらいました。保護した当初はとても怯えていて、血が止まらなくなるほど攻撃をされたこともあったそう。しかし、食事の際は必ず子ねこたちが食べている姿を確認してから食べ始めたり、子どもたちが近寄ってきたら場所を譲ったりと、母性が強くとても優しい一面を持っていると言います。
そして7月21日夜には、ようやく2匹の子ねこ(「レオ」くんと「ナラ」ちゃん)を保護。その3日後には、3匹目の子ねこ(「ライア」ちゃん)を保護しました。
「子どもたちを全員保護したタイミングで母ねこのケージの横に並べた時、『絶対一緒にしてあげるからちょっと待っときよ』と何回も話しかけたのを覚えています」
その後、動物病院で子ねこたちの血液検査やダニ・ノミの駆除を行い、家族は無事に再会。9月に入る前には、子ねこたちが奥の部屋でジオラマの上を走り回る状況になりました。
ちなみに後から来た4匹の名前は、シンバくんの名前をディズニーアニメ『ライオン・キング』の主人公から取ったことから。名前を授けてくれたnagさんとはツイッターで知り合い、その後も交流が続いているそうです。