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メーガン妃の暴露インタビューに英国民の反応は? 現地ライターが明かす温度感

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

19歳のブリティッシュガールが抱いた感想

 これほど大きな注目を集めたヘンリー王子夫妻のインタビュー。米国では1700万人が視聴したと言われるが、英国でも久々に多くの国民が同時にテレビの前に座ったと思う。

 私の19歳の娘もその1人だ。今朝、母親にかけてきた電話で「大学の寮で4人の友人と一緒にインタビューを観た」と言った。

 感想を尋ねると、まず「annoying(苛立たしい)」という一言が返ってきた。ちなみに一緒に番組を見ていた友人たちも同じ意見だったという。理由を尋ねると、次のように答えた。

「英王室には1000年以上の歴史があって、米国の建国よりずっと古い歴史と伝統があるでしょ。例えば、メーガン(妃)は初めてエリザベス女王に会った時、ハリー(ヘンリー王子の愛称)に『カーテシー(ヨーロッパの伝統的な挨拶)のやり方は知っている?』と聞かれて『知らずに面食らった』『恋人の祖母と会うのにそんな儀礼が必要なのか』という話をしていたけど、英国人なら女王の前に出たらカーテシーでお辞儀をすることくらい、3歳の子どもでも知っているわ。それが歴史というものよ。

 それに王族と婚姻するということは、王室の義務とも結婚するということ。人前でニコニコするのがつらかったという話をしていたけど、そうした義務をきちんと果たさなければ王室の存在価値がなくなるじゃない」

 この言葉を聞いた妻は「いかにもブリティッシュガールって意見だわ」と笑った。今年は新型コロナウイルスの影響で、大学寮に文字通り閉じ込められたような生活を送っている娘だが、どうやらそんな生活の中でも、大学生らしい意見が言えるようになってきているようだ。

米英で両国民の反応に違いが出る理由とは

 それはともかく、筆者は以前のコラムでもメーガン妃が英王室とうまくいかない最大の理由は「王室のない米国で育ったことである」と主張したが、どうやら今回のインタビューでもその問題がピンポイントでくっきりと露呈したと思う。

 すべての人間が平等であるべきという現在の人権基準から言えば、生まれながらに君主、もしくは君主の家族としての権力を持つロイヤルファミリーの存在は、見方を変えれば一転して不平等を象徴するものにもなりかねない。

 だからして、公人として一般のお手本となるベき人生を歩まなければならない。王室、または皇室をいただく英国人や日本人には、その厳格な規則に縛られているロイヤルの生活も知らず知らずのうちに熟知することで、そこから「そんな大変なことは自分にできない」という敬意も生まれる。

 しかし、ロイヤルのない自由の国・米国で育った人間は、その公人としての困難さや堅苦しさに視線が届かず、それこそおとぎ話的な感覚で王族を見つめているようだ。そして最も古風で厳格なルールに従う人生を知らないまま、その世界的な知名度や権力、一般からの尊敬、圧倒的な財力に感心してしまうのだろう。

 今回のインタビュー後にメーガン妃への同情が高まった米国、対して女王と王室メンバーへの同情論が比較的強かった英国。どちらが正しくて間違っているといった問題より、そんな王室に対する認識の違いが、両国民が持つ温度感の違いにつながっているのだろう。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)