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美馬アンナさんが共感する義肢装具士の想い 「自分の作ったもので他人の人生が変わる」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

強烈な人間と真っ向勝負をさせられる仕事で「スイッチが入った」

中村:電車事故で片腕と両脚が義肢になったYouTuberの山田千紘くんは、国リハに来た当初から「俺を何とかしてくれよ」というエネルギーがすごかったんですよ。こっちが負けそうなくらいのエネルギーを持ってきた。それに応えるためには、私たちも全力でぶつからないといけない。

 お互いが全力でぶつかった結果、彼は独り立ちして、立派な会社で社会人として活躍すると同時に、YouTubeを通じて同じ境遇の人に勇気を与えている。そういう人に関われたことはとてもうれしいことで、この仕事に就いて良かったと思います。

アンナ:山田さんの人生において、中村さんは欠かせない存在ですよね。そういう存在になれるなんてすごい!

中村:めぐり合わせもあるでしょうね。実のところ、この仕事に就く前はあまり人間が好きではなかったんです(笑)。

アンナ:え~っ!

中村:どちらかというと内向的で、義肢装具士は物作りに集中できるからいいかなと思っていました。ですが実際は、山田くんのような強烈な人間と真っ向勝負をさせられるわけですよ。そうしたら、自分の中にあるスイッチが入りましたね(笑)。自分が人間によってこんなに変われる。人が人を鍛えるっていうんですかね。

 今ではこの仕事が面白いと思います。とても良い結果が出ることもあれば、うまくいかなくてケンカする時もある。それでも、なかなか珍しい仕事に出会うことができました。人と人が真正面からエネルギーをぶつけ合うことで生まれる力はすごいですね。

アンナ:人間力ですね。主人とも「結局一番大事なのは“人”だよね」と話すことがあります。私は息子が生まれてからの1年半で人との関わりがものすごく増え、人間が持つパワーや子どもの生きるパワーを感じることで、突き動かされています。

中村:漠然とした話になりますが、“見えざる力”を感じざるを得ないこともあるんですよ。山田くんを例とすると、電車に轢かれて3本も手足がなくなったのに、彼はなぜ死ななかったのか。普通だったら死んでしまう状況で、なぜ生き残ったのか。今となって彼の活躍を見ると、身をもって発信することで人々に勇気を与えるために生き残ったのかもしれない。人にはそれぞれ役割が決められているのかもしれない……と思ったりもします。

アンナ:でも、すごくよく分かります! この1年半、息子はなぜ私と主人を選んで生まれてきたのかとすごく考えています。「私たちに何ができるのか」「私たちにしかできないことがあるよね」と話してきて、今の私たちがいる。こうやって中村さんとお話しする機会もいただけましたし。

中村:お子さんが選んでくれたんですよ。このお父さんとお母さんだったら自分を育ててくれるって。

アンナ:うれしいですね。今はまだ序の口で、これから大変なことがいろいろあるとは思いますが、やっぱり息子には私たちのところに生まれてラッキーだと思ってほしいですね。親として。