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美馬アンナさんが共感する義肢装具士の想い 「自分の作ったもので他人の人生が変わる」
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集団訓練で家族同士のつながりを提供「親御さんも寂しいし、不安」
中村:義手の訓練に来る時も親御さんは腹をくくって来るので、お母さんもお父さんも強いですよね。
アンナ:そういう方々とも話してみたいですね。
中村:国リハではマンツーマンの訓練だけではなく、同年代の子どもたちを3~4人で行う集団訓練もしています。訓練と言いながらほぼ遊びですが、それを周りで見ている親御さん同士の会話も生まれて、情報交換の場にもなっています。
アンナ:それはいいですね。楽しそう!
中村:親御さんも寂しいし、不安なんですよね。
アンナ:そう、そうなんです! 普通のベビースクールに行くと、子どもに関する悩みは大体似ていますが、息子の手がないことで他の親御さんとは少し違う悩みもある。でも、私も話しづらいし、「分からないだろうから」と話さなかったり……。だから、同じ悩みを完全に共有できる場所って大事だと思うんですよね。今の時代、ネットを見て勇気をもらうこともありますけど、リアルな会話で思いを共有する体験も必要だと思うので、集団訓練での場所提供はすばらしいですね。
中村:機会があったら、ぜひいらしてください。最近では「ハビリスジャパン」や「Hand&Foot」のようなNPO団体やコミュニティもたくさんあるので、そういう場所で情報を得ることもできます。
アンナ:私は「Hand&Foot」に入会しました。思いや情報を共有できる場所があるだけで、親の不安も解消されますよね。
中村:そうですね。寂しさが不安を増長させるので、そこを少しでも解消できたらと思います。自分ですべて抱え込まなくても大丈夫、こういう場所で情報を得るといいですよ、と道案内ができる窓口を作る。これは少し前から今、そして5年、10年先にかけての課題かもしれません。
アンナ:少し先の未来では、義手や義足が“道具”としてもっと身近な存在になって、子どもはもちろん家族の不安も軽減してくれることを願っています。
<終わり>
国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 副義肢装具士長
大学時代は化学を専攻し、卒業後は一般企業に勤務。退職後に義肢装具士を目指し、資格獲得を目指して国立障害者リハビリテーションセンター学院に入学する。卒業後は同センター 研究所に就職し、義肢装具士として働きながらより良い義肢の研究・開発、子どもの義肢普及に努める。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所・義肢装具技術研究部YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCLJCXm4yylnFjplj4TTJRDw
(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)