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コロナ禍を生き抜く「おこし」屋 24歳経営者が老舗の立て直しに成功した理由とは?
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大きき経営を立て直すも、会社や工場を拡大する考えはなし
これまで、スーパーマーケットにおけるおこしの小売価格は、特売用の袋詰めで約120円。購買層もお年寄りが中心でした。この薄利多売だった状況をブランディングで打破し、30~40代の若い女性や子育て層が手に取りやすいかわいらしいパッケージに一新。また、甘さや固さを控えめにした上品な味にすることで、贈答用の高級品がセレクトショップで取り扱われるようになったため、単価も大きく向上したといいます。
コロナ禍では、雷おこしなど観光地向けに商品を卸していた同業者が苦戦する中、巣ごもり需要もあり大きな打撃は受けなかったという丸文製菓。今後は高級志向のブランディングと並行して、ビジネスマンの小腹満たしや小さいお子さんのおやつ、はたまたお酒のおつまみなど、日常で手に取ってもらいやすい工夫を考えているといいます。
倒産寸前の状況から大きく経営を立て直した同社。一方で、細谷さんは「会社や工場を拡大する考えはない」と言います。
「うちが今まで何とかやってこられたのは家族経営だったから。会社を大きくすることは、それだけリスクもあります。それよりも、自分と同じように家業を継ぐ人たちのロールモデルになれれば。オンラインコミュニティで、レストラン経営を始めた農家やIT対応のハイテク黒板を開発した黒板工場、下町ロケットみたいな町工場とも交流していて、とても刺激を受けています。将来、自分もそんな家業で悩みを持った仲間たちに再建のヒントを与えられるような存在になりたい」
祖父の代から続いてきた家業のおこし作りですが、今年7月には細谷さんにも第1子となる女の子が誕生予定。親子の絆を結ぶおこし作りの伝統は、これからもまだまだ続いていきそうです。
(Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔)