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おさげ髪&スニーカー姿も 米アカデミー賞を彩った女性陣のファッション

著者:関口 裕子

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『ノマドランド』の主演女優は“まれに見る贅沢”ファッション!?

 主演女優賞は『ノマドランド』のフランシス・マクドーマンド。先に発表になった作品賞のスピーチですべてを語ったフランシスは、まさか自分まで受賞するとは思っていなかったようです。

普段はナチュラル志向のフランシス・マクドーマンド(c)Todd Wawrychuk / A.M.P.A.S.
普段はナチュラル志向のフランシス・マクドーマンド(c)Todd Wawrychuk / A.M.P.A.S.

 ナチュラル志向の彼女の普段着は自分で布を染めたり、古い服をリメイクしたりしたものを着用しているそう。授賞式にも、シンプルなスタイルの黒のガウンドレスで参加しました。ただ袖口にマラボウ・トリミングが施されていることで、「まれに見る贅沢」と報じた米メディアも。フランシスの徹底ぶりが伝わってきます。

 壇上では、オオカミの遠吠えをマネする一幕もありました。単なるジョークではなく、3月に死去した『ノマドランド』のサウンドミキサー、マイケル・ウルフ・スナイダーに捧げられたもの。壇上の人々が涙ぐんでいたのには、そんな理由があったのですね。

『ノマドランド』の中国人女性監督はおさげ髪&スニーカー

 アジア人女性初の監督賞、作品賞(プロデューサーでもある)に輝いたのは、『ノマドランド』のクロエ・ジャオ。授賞式には「エルメス」のドレスにスニーカー、おさげ髪で登場しました。

クロエ・ジャオ監督はスニーカーで登場(c)Matt Sayles / A.M.P.A.S.
クロエ・ジャオ監督はスニーカーで登場(c)Matt Sayles / A.M.P.A.S.

 クロエは中国出身。父は国有鉄鋼会社の元ゼネラルマネージャーで、クロエの母と離婚後に女優の宋丹丹(ソン・タンタン)と結婚しました。なじめなかったクロエは15歳の時に英ロンドンの寄宿学校に入れられ、高校以降は米国に拠点を移して現在に至っていますが、父からの援助を受けることはなかったという反骨精神の持ち主だそうです。

 そんな彼女のスピーチは、深く心に響きました。「私たちが種として生き残るための唯一の方法は、理解すること、そして相手の視点から世界を見ようとすることだと思います」。

 コロナ禍を始め、未曾有の状況が続く世界。相互理解とは、人類が生き残るためのハードルと言えるのかもしれません。授賞式に出席した女性陣のファッションが個性豊かになる状況も、やはり多様化の一側面。さまざまな気付きのポイントに満ちています。

◇関口裕子(せきぐち・ゆうこ)
映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。

(関口 裕子)