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プロ野球選手を“食”でサポート 元ホテルシェフの選手寮料理長に聞く秘訣

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

地方出身選手や外国人選手の郷土料理も提供

おしゃれなカフェに見えますが、実はプロ野球選手寮の食堂です【写真:冨田味我】
おしゃれなカフェに見えますが、実はプロ野球選手寮の食堂です【写真:冨田味我】

 ホテルやレストランでは“毎日違ったお客様”に食事を提供してきたが、青星寮では“毎日同じお客様”となる。そのため、メニューには一工夫を凝らしているという。

「飽きが来ないようにバラエティに富んだ料理を出したり、味付けをしたり。地方から来た選手もいますので、郷土の味を入れてみたりもします」

 これまでも北海道のちゃんちゃん焼きや宮崎のチキン南蛮などを提供し、うどんも関東風・関西風とつゆにバリエーションをつけている。また、選手たちのコンディション全般にも気を使っているそうだ。

「レストランではギャルソン(ウエイター)からお客様の好みを伝えられることもありますが、基本はこちら(料理人)が決めたものを提供します。でも、寮では選手が食事をできる場所はここの食堂だけ。直接コミュニケーションを取ったり、食べている様子を見たりしながら、考えて提供しています。

 寮で初めて一人暮らしをする選手も多いので、食欲はあるか、体調に変化はないか、気を使いながらやっています。選手は体が大事。彼らは人生をかけてやっていますので、体調を崩して練習や試合に出られない、というようなことがないように、食べられないものがあれば、その選手だけやわらかいものにしたり、肉ではなく魚にしたり。好き嫌いがある場合は、なるべく食べてもらえるようにメニューを工夫します」

 外国人選手も利用するため、出身国の料理を本やネットで調べて作ることも。「慣れない環境の中でどうしたら食事を楽しんでもらえるのか、聞きながらやっています」と、細やかな配慮を欠かさない。

 そんな加々美氏に選手たちは感謝しかないようで「食べるのが楽しみです」と直接声をかけられることも。「私たちには最高の言葉ですね」と加々美氏は目尻を下げた。