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【私の家族】演歌歌手・田川寿美が語る恋しい愛猫の思い出 「私の目をじーっと見て話を聞いてくれた」

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

甘えん坊なルーたんとクールなランランちゃんとのにぎやかな生活

以前飼っていた愛猫2匹、ルーたんとランランちゃんの思い出を語る【写真:荒川祐史】
以前飼っていた愛猫2匹、ルーたんとランランちゃんの思い出を語る【写真:荒川祐史】

 ルーたんは寂しがり屋で甘えん坊。私が仕事から帰ると玄関で迎えてくれました。朝はお腹が減って、寝ている私の鼻を甘噛みして起こしにくるし、私が新聞を広げて読んでいると新聞の上に寝転んで邪魔してくるし。感情をストレートに出す表現豊かな猫でした。だから、兄が家にいるといっても、私が長く家を留守にすると、必ず私のベッドに粗相をして。寝る時はいつも私の枕元にピタッと寄り添っていたので、寂しかったのでしょうね。

 ルーたんをかわいそうに思って、2年ほどしてから同じアメリカンショートヘアの女の子「ランラン」を迎えてあげたんです。ところが、“ランランちゃん”はルーたんとは反対にクールで、いつも1人で凛としている猫でした。

 抱っこは嫌がるし、ごはんは私の手から食べてくれないし、寝る時も1人でソファに。ルーたんはどうやら、寂しくはなくなったようでしたが、私を取られないようにランランちゃんとよくバトルを繰り広げていました。

 ランランちゃんがクールだったこともあり、ルーたんとの思い出がランランちゃんより多いように思います。ルーたんは私が自宅の音楽部屋で歌の練習をしていると「入れて入れて~」って前脚でドアを引っかいてきて、入れてあげると私と一緒に歌うんです。「ニャニャニャニャ~」って結構、大きな声で(笑)。私の声が「うるさいよ~」って訴えていたのかもしれませんけど。ベランダにハトが来た時も「ニャニャニャニャ、ニャニャニャニャ~」ってしゃべっているような、威嚇しているような声を出して。面白い子でした。

 また、私がつらい思いをしている時には私の話をよく聞いてくれました。私も20代の頃は感情のぶれが激しかったですからね。15歳で親元を離れて東京へ出てきたので、大人の社会の人間関係に戸惑ったり、激しい競争社会の中で他人をうらやんだりすることもありました。そんな時、ルーたんを膝に抱いて話しかけると、私の目をじーっと見て話を聞いてくれたんですよね。

 しばらくして私の気持ちが落ち着くと、ルーたんは「もういいだろう」という顔をしてスッと離れていくんです。普段は「そうでちゅか~」って私の方が赤ちゃん言葉で話しかけていたのですが、そういう時は私の方が甘えさせてもらっているみたいで。私のことをよく分かっているんだな、と思いましたね。ルーたんがいてくれたおかげで本来の自分を取り戻し、気持ちをリセットしてまた頑張ることができました。