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高齢猫の飼い主が知っておくべき“病気のシグナル” 猫専門病院の獣医師が回答

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

飼い主がしたい日々のチェックは3つ 尿の量・飲み水の量・体重の変化

16歳の愛猫レオンくんをブラッシング。「Hint-Pot」で「ねこ通信」を連載するほど猫好き【写真提供:小笠原瑛作】
16歳の愛猫レオンくんをブラッシング。「Hint-Pot」で「ねこ通信」を連載するほど猫好き【写真提供:小笠原瑛作】

瑛作:腫瘍ですか。実はレオンの首の後ろに、2年くらい前からしこりがあるんです。ただ、大きくなるわけでもなく、本人も痛がる様子もなく元気なので、悪性ではないのかなと思って検査にも行っていません。

長谷川:その判断は難しいところですね。良性か悪性か診断するためには、手術でしこりを取って検査をしないと分かりません。切除となると全身麻酔をする必要がありますが、そこまでできない猫もいる。その場合は針でしこりを刺して中の細胞を一部取り出し、細胞を検査しますが、検体が少ないので診断がつかない場合もあります。

 後は、そのままで経過を見る。挙動や触診での診断は難しいのですが、数年も大きさが変わらないしこりであれば、少なくとも悪性度が高い可能性は低いと思います。悪性度が高いと1、2か月でどんどん大きくなるんです。ただ、これも一般論であって、言い切ることはできません。

瑛作:レオンは痛がる様子もないし、しこりが大きくなる様子もありません。経過を見る形でも大丈夫ですか?

長谷川:そうですね。そういった時に、「高齢の猫であれば様子を見る方法もあります」という話はします。診断希望あれば検査をしますが、そこは飼い主さんの考え方次第ですね。

瑛作:検査がストレスになったら……と思うと、そのままでもいいかなと思う部分もあります。

長谷川:私も愛猫が同じ状況にあったら、そのまま様子を見ると思います。もしかしたら、針を刺すくらいの検査はするかもしれませんが、全身麻酔を伴う検査は猫への負担を考えると避けますね。

司会:腎臓の病気も腫瘍も早期発見に越したことはないと思うのですが、飼い主さんが手軽にできるチェック、あるいは気に留めておいた方がいいポイントはありますか?

長谷川:腎臓の病気であれば、水を飲む量や尿の量が増えます。いわゆる「多飲多尿」ですね。腎臓の機能に障害が発生すると尿を濃縮できなくなり、薄い尿を多くするようになります。そこで水分を使ってしまうので、水を多く飲む。これがよく見られる症状です。

 それと体重です。老化で筋肉量が減ることはありますが、病気を持っている猫は老化の範疇を超える体重減少がある。見ていて明らかに痩せていくことがあれば、腎臓以外の病気も考えられるため要注意です。

 自宅で血液検査はできないので、日々のお世話で分かる尿の量、水が減るスピード、抱き上げた時に感じる体重が健康のバロメーターになります。毎月の健康診断に通う飼い主さんはほとんどいません。「多飲多尿が病気のシグナルかもしれない」と知らなければ、病院へ連れて行くこともできません。このため、飼い主さんにはぜひ知っておいていただきたいと思います。

瑛作:早期発見で早期治療につなげたいですね。

長谷川:はい。ただし、基本的に慢性腎臓病は確実に治る方法がない病気なので、腎臓の機能が低下するスピードをゆるめることを目指します。そこで何をするかというと、食事の変更ですね。腎臓病療法食という治療を目的としたフードに切り替えるのが第一歩。食事を切り替えれば予後が伸びることは分かっているので、なるべく早い段階で見つけて、早めに食事を切り替えたいところです。