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先天性欠損にリハビリの「リ」はいらない? 美馬アンナさんも感心「これは深い」
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「何でお母さんには手が2つもあるの? それって大変じゃない?」
藤原:そうなんです。子どもの障害に合わせて社会に適応できるようにしていくのが「ハビリテーション」。どんな障害があっても、子どもたちが社会の中でのびのびといろいろなことにチャレンジしていけるように、という願いを込めて「ハビリス」と名付けました。
子どもにとっては生まれてきた体が100%なので、手足がないことは別に障害ではありません。印象的だったことがありました。片手形成不全のお子さんが、両手のあるお母さんに聞くんです。「何でお母さんには手が2つもあるの? それって大変じゃない?」って(笑)。その子にとっては片手が普通なんですね。
アンナ:それは面白い! 同じことを聞かれたら、私は何て答えようかなぁ(笑)。
藤原:子どもはそういう発想もできるわけです。だから、子どもたちなりに成長と合わせて意外に何でもできるようになる。ごはんを食べたりトイレに行ったり、日々の生活の中でいろいろチャレンジしていると、障害により能力が低くくなるという認識を持たず、その子なりの工夫で何でもできるようになっていきます。
アンナ:確かに息子も何でもできていますね。
藤原:何でもできるから、手指のないお子さんは特にあまり困らない。その理由は手の機能が非常に高いからです。私たちには両手があり指がそれぞれ5本ありますが、片手しかなかったら日常生活でどのくらいの動作ができないか考えたことはありますか?
アンナ:う~ん、ありません……。
藤原:両手がないと絶対にできないことは何か、考えてみましょうか。
アンナ:う~ん……タオルや雑巾を絞るとか? でも、何かに引っかけたら絞れるかも。あまり思い付きませんね。
藤原:そうなんです。ほとんどないんですよ。日常生活動作の96%くらいは片手でできる、という論文もあるくらいで、大抵のことはできてしまいます。
アンナ:確かに、両手があっても右利きと左利きがあって、右利きの私には左手でやりにくいことがたくさんあります。そう考えたら、実際は右手しか使っていないような……。フタなど何かを開ける時には左手で支えたりしますが、なくてもできる気はしますね。
藤原:皆さん、肘、アゴ、口などを使って何とかしてしまうんです。そこが義手と義足の大きな違いでもあります。足は対にならないと歩けないので義足は必要。でも義手は、なくても大体できるのだったらいらないね、となってしまう。特に片手の障害の方に多いですね。ただそこで、片手で何でもできると言っても「やりにくさはありませんか?」ということなんです。