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オンラインで世界中の人に納豆作りも伝授…米在住ナチュラリストがコロナ禍で得た気付きとは

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

五感で楽しむワークショップの開催が困難に

ワークショップのテーマの1つである梅干し【写真:小田島勢子】
ワークショップのテーマの1つである梅干し【写真:小田島勢子】

 6年前より発酵や手作り調味料をテーマに活動を始めたワークショップ。みそや納豆をはじめ紅茶キノコ、塩こうじ、ぬか漬け、ザワークラウト、漬け物、キムチ、ヨーグルト、みりん(日本ではライセンスなしで作ることは酒税法で禁止されています)などを通して菌の世界を少しずつお伝えしてきました。

 コロナの前はみんなが対面で集い、レシピやその日使う食材について「いつもよりもう少し知ってみよう」という講義時間を過ごした後、実際にわいわいと手作りしてそれぞれ持ち帰り、自宅の環境で育てるというスタイルを続けていました。ところが、コロナ禍に突入してからは人々が直接集まることも許されず、いろんな方からのご希望もありオンラインワークショップのスタイルに。

 始めた当初は私自身、これまで続けてきた「観て、聴いて、香って、触って、食して」の五感を使った体験型のクラスを、オンラインで行うことに戸惑いを感じていました。特に食に関するワークショップで「香りと触感、食感」、この3つを目の前で感じてもらえないことにはとても違和感があったからです。

 ただこの時、これまでとは違った思いもありました。コロナ禍になるまで普通だと思っていたことが普通でなかったこと(ましてや普通とは何か?)、「常識」だと認識していた事柄が実は自分で作った枠の中で判断したものだったということ。枠にとらわれず、純粋に心のワクワクに従ってみよう。

 こうして、新たな一歩を踏み出してみることにしました。

世界中がつながる不思議な感覚 オンラインワークショップで気付いたこと

 手探り状態で始めた、世界中で暮らす人々をつなぐオンラインワークショップ。ロサンゼルスでの夕方は、ニューヨークの夜、ハワイのお昼、日本の朝。他にもカナダやメキシコ、ニュージーランドやドイツからのメンバーも加わり、国を超え各地で同じ時を過ごすこの感覚。そしてコロナ禍で隣人とも会話することが難しい中、遠い土地の初めて画面上で会う人たちと1つのテーマについて学び、感じることは、今まで味わったことのない不思議な感覚でした。

 また、それぞれの環境などによっても参加する理由や意気込みが異なります。国によっては食材が手に入りづらかったり高価だったりすることで、手作りを切実に必要としてクラスに臨む方もいらっしゃいました。

 例えば納豆。日本では気軽に手に入れることができます。しかし、カナダやドイツなどでは自宅から遠く離れた日系のスーパーマーケットまで行かなければ手に入らず、手に入ったとしてもとても高価な食材でもあります。

 同じ「納豆作り」を学ぶ姿勢にも、「自分で手作りした納豆を味わってみたい」という方から、「納豆が簡単に手に入らないので自分で作る」という方までそれぞれの思いがありました。