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ヘプバーンと明石家さんまが共演!? 日本で人気CMの“元ネタ”になった古典映画3選

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

シーンは超有名でも映画自体は多くが未見?

『ローマの休日』では、ジョーとアン王女が詩の作者を当て合うシーンで高い教養を持つ2人であることを表現した。だが、引用したり、オマージュを捧げたりするのはハードルが高いことではない。ただ1つでいいのだ。自分がとても好きなもの、気になるものが、たまたま他人と共通するものだったという。

 そんな“言語”を共有する者が増えていけば、過去の文化は現代にも生きるものになる。さらに、その時代ごとの解釈が加わることでより豊かになり、時空を超えて語り継がれるものになっていく。

あまりに有名な『七年目の浮気』の名シーン【写真:Getty Images】
あまりに有名な『七年目の浮気』の名シーン【写真:Getty Images】

 逆の意味の引用で、マリリン・モンロー主演、ビリー・ワイルダー監督の『七年目の浮気』(1955)について触れたい。この映画でもっとも有名なシーンは、トム・イーウェルと『大アマゾンの半魚人』(1954)を観て劇場から出てきたマリリン・モンロー演じる美女が地下鉄の通風口の上に立ち、スタートをひるがえらせるところ。

 これこそインパクトの強いシーンで、1969年の丸善石油(現コスモ石油)CMで小川ローザが「オー! モーレツ」と叫ぶのも、これに影響を受けたものだと思う。その他にもむやみやたらにこのシーンは引用されまくっているが、かなり多くの人が実は引用元の映画を観たことがないのかもしれないと感じる。

カメラテストに起用されたのも有名俳優だった

 モンローには『お熱いのがお好き』(1959)という傑作もあるが、この作品と間違えている人は結構多い。ちなみにこちらは、マフィアから追われることになった男性楽団員のジョー(トニー・カーティス)とベース奏者のジェリー(ジャック・レモン)が、女装して女性ばかりの楽団に交じりシカゴからフロリダへ逃げる物語。

 確かに『七年目の浮気』は艶っぽい話ではある。妻子がバカンスに出た男性が、上階の美女(モンロー)とのあらぬ妄想に取りつかれる舞台劇の映画化。所詮は妄想だ。あのシーンだけが独り歩きしてしまうのは悲しい。この際、観たことないという人には、『七年目の浮気』『お熱いのがお好き』を続けて観てもらいたいと強く思う。印象が変わること請け合いだ。

 ちなみに『七年目の浮気』の主演は当初からモンローに決まっていたが、相手役のカメラテストのために俳優を配した。その時モンローの役を演じたのは『グロリア』(1980)などで知られるジーナ・ローランズなのだそう。そしてカメラテストの末、ワイルダーが本当にキャスティングを望んだ相手役はウォルター・マッソー。後に『恋人よ帰れ! わが胸に』(1966)などでワイルダー作品に出演している。

 ジーナ・ローランズとウォルター・マッソー主演の『七年目の浮気』は随分印象の異なる作品になっただろうし、スカートがひるがえるあのシーンもここまでフィーチャーされることはなかったかもしれない。