食
菊の花を家庭でおいしくいただく 下ごしらえも楽しいなますとおひたしのレシピ
公開日: / 更新日:
古代中国で“延命長寿の花”とされた菊。日本でも奈良時代には、伝来した食用品種「延命楽」の栽培が始められましたが、食用として民間に広まったのは江戸時代のことでした。かの松尾芭蕉も旅の道中で知人に菊の“なます”を振る舞われ、その味わいに驚いたとか。そのときに詠まれたのが「蝶も来て 酢を吸ふ菊の 膾哉(ちょうもきて すをすうきくの なますかな)」の句。菊を使った華やかな食卓に心を躍らせた芭蕉のように、私たちも秋の色どりを食してみませんか?
◇ ◇ ◇
食用菊の定番・酢の物(なます) 大根おろしを使ってアレンジ
食用菊の代表的な食べ方の1つが「酢の物(なます)」。食用となる菊の花弁には味や風味がほぼなく、シャキッ、キュキュッとした食感が魅力です。この食感を一番楽しめるのが酢の物。今回は黄色の菊「安房宮」を使って調理しましたが、「もってのほか」や「かきのもと」と呼ばれる淡紫色の食用菊「延命楽」を使ってもOKです。
ちなみに食用菊には、血行を改善するビタミンEや抗酸化作用があるビタミンC、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンB2といった栄養素が含まれています。疲労がたまった身体のケアにもうってつけですよ。
今回は黄色の菊を使ったので、蒸しダコで彩りを添えました。淡紫色の菊を使う場合は茹でたイカを添えると鮮やかです。菊の花の下処理として花びらをむしる作業は、想像よりスムーズにできるためストレス解消になりますよ!
〇菊と大根おろしの酢の物
【材料】(作りやすい分量)
食用菊 1パック(90~100g)
キュウリ 1本
蒸しダコ 100g
大根 15cm
酢 60ml
砂糖 大さじ3~4(お好みの甘さに調節を)
白だし 小さじ2(醤油でもOK)
【作り方】
1. キュウリは千切りにするか、スライサーを使って細切りに。大根はおろし金でおろし、水気を切っておく。蒸しダコは食べやすい大きさに切る
2. 食用菊はよく洗った後、花びらだけをむしりとる
3. 片手鍋(直径19~20cm程度)に半分ほど水を入れ沸かす。沸騰したら弱火にして、色止め用に酢大さじ2(分量外)を加える。そこに菊を入れ、菜箸を使ってひっくり返すように混ぜてサッと湯がく
4. ボウルに酢、砂糖、白だしとよく水気を切った菊を熱いうちに入れて混ぜ、味をなじませる
5. 4にキュウリ、大根おろし、蒸しダコを加えてよく混ぜ、冷蔵庫で1時間以上寝かせれば完成
※菊を茹でる際は必ず弱火に。沸騰した状態だと湯に巻き上げられて花弁が沈まず、うまく茹でることができません