からだ・美容
ノーベル賞は“遠い世界の話”にあらず 身近な商品に応用されているTRPチャネルとは
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スキンケアにも応用 肌の炎症を抑えるチャネルも存在
TRPチャネル研究は、スキンケアの分野にも応用されています。肌トラブルの主な原因といえば炎症。実はこの炎症を抑制してくれるありがたいチャネルも存在しているそう。
「炎症は外的刺激を受けた際に肌が示す免疫反応の一つですが、行きすぎてしまうこともあるんですね。肌が『これは大変だ!』と慌てすぎてしまうイメージです。そこで『落ち着いて。そこまでしなくて大丈夫』となだめてあげれば、肌荒れなどを防ぐことができます」
このなだめてくれるのが、皮膚に存在するチャネル「TRPM4」。これを活性化すれば、肌の“慌てすぎた反応”を制御することできるのです。となると次は、どの成分が「TRPM4」を活性化させてくれるのか?
「多くのテストを行った結果、温泉エッセンスの『アルムK』に効果があることが分かりました。実はこれ、美肌効果があるといわれる明礬温泉(大分県別府市)の主成分でもあるんですよ」
そこで、この「アルムK」を配合したスキンケアシリーズを開発。スキンケアといえば“肌に良い成分をどんどん補う”というイメージもありますが、こちらは付けた成分で肌が持つ本来の“パワー”ともいえるTRPチャネルの活性を促す仕組みです。「TRPチャネル研究がノーベル賞」と聞くと何だかとても難しい研究と思ってしまいますが、その応用は実にシンプルな形で行われていることが分かります。
「友人や知人に唐辛子やミントアイスとTRPチャネルの関連を教えるとすごく驚かれますし、感動してくれます。そうやって知ってもらうのはうれしい反面、まだ認知度が低いなと思うことも。これをどうやって分かりやすく多くの方々に伝えられるか。それが自分の研究のモチベーションにもなっています」
快適で清涼感をもたらしたり、お肌の調子を整えたりするためのアイテムは、私たちの生活とは切っても切れない存在。TRPチャネルがこれからどんなものに応用され、生活をさらに豊かにしてくれるのかが楽しみですね。
(Hint-Pot編集部)