からだ・美容
「考えながら食べる習慣」が大事…賛否両論の断食ブーム 有名書籍の著者2人に聞く
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体脂肪率3.8%になった青木氏「血圧、血糖値も下がる」
青木氏は、現在52歳。平日は14~16時間、休日に24時間の空腹時間を作る生活を長く続け、65キロあった体重が53キロになり、ウエストは78センチから70センチに。体脂肪率は16%台から3.8%に減っています。
「前はお腹ポッコリの中年体形でしたが、今は細身の筋肉質です。体脂肪率が低いのは、この食事法で筋肉が落ちることを防止するために始めた筋トレの成果もあります。取り組めば、確実に血圧や血糖値が下がります。薬いらずの生活に戻って、通院をやめた患者さんも多くいます。医師として、こんなに喜ばしいことはありません」
青木氏は、自身がそうであるように「16時間断食」に慣れた患者には、週に1回の「24時間の空腹」への挑戦も勧めています。
「空腹の時間が長いほど、脂肪の分解が進み、オートファジーが活性化するからです」
「月曜断食」の関口氏「リセットして週末に食べる楽しみ」
「24時間の空腹」については、「月曜断食 『究極の健康法』でみるみる痩せる!」(文藝春秋刊)の著者で、鍼灸治療院「Harriet」代表の関口賢氏が、独自の手法を打ち出しました。鍼灸師として約14年で10万人超の体を見てきた目から、同氏は「現代人は食べすぎの傾向にあり、胃腸に負担をかけている人が多い」と訴えます。
「私の師匠は、消化器系を専門にする中国人のドクターです。東洋医学の世界では『病は胃腸から』という言葉もありますが、現代人が『食べすぎで胃腸に負担がかかっている』ことは明らかで、私は『消化器の改善』を目的にした断食と鍼を組み合わせた施術をしてきました。鍼灸だけでも代謝の数値は高くなり、体も変わってきますが、断食で胃腸をしっかり休ませる。そうすることで、血流はさらに良くなり、余分な体重が落ちやすくなる。それと同時に免疫力も高まります」
その上で関口氏は、1年以上かけて「鍼の効果に頼らず、生活の中で誰もが取り組める断食法」を研究。行き着いたのが、「月曜断食だった」といいます。
「文字通り、月曜日を水だけで過ごすという断食法です。週のスタートで何かと忙しい月曜日に断食を行って、体をリセットする。平日は体にベストな食事で整え、週末は好きなものを食べる。『不食、良食、美食』の繰り返しです」
【月曜断食の基本メニュー】
月曜日:断食(水分だけ)
火曜日~金曜日:朝(旬の果物、ヨーグルト)
昼(主食を除き、おかずのみ)
夜(野菜スープまたはサラダなどの野菜料理)
土曜日、日曜日:炭水化物を含めて好きなものを3食
「私は初診で『昨日の昼に何を食べましたか』と聞いていますが、大半の人は覚えていません。食べることが作業になっているからです。ただ、この食事法(月曜断食)だと土日には好きなものを食べられるので、食べることの楽しみを感じる人が多くなります。
平日の朝、特に火曜日の朝に空っぽな状態で旬の果物とヨーグルトを体に入れるのは、胃腸に良質の菌が広がるからです。また、月曜日にお腹の中の大掃除をした後、糖質を制限するのは、体の中に蓄積している脂肪をエネルギーに変え続け、必要な栄養が入る状態にするため。開始から1か月で数字の変化が出て、5キロ減という人もよくいます。2か月で体が変化し、お腹がへこみます」
ただ、いきなりこのメニューをすべてこなすのは、容易ではないように思えます。ストレスも溜まりそうです。そうした事態になることを踏まえて、関口氏も青木氏と同様に「無理は禁物」と話しています。
「まず、いきなり水だけでの24時間断食を完璧にできる人は少ないですし、多少は食べてもいいんです。平日もランチミーティング、接待などでたまに糖質を入れることもあるでしょう。それでも、以前の食生活よりは良くなるわけで、『昨日、食べすぎたから今日は少なく』という発想にもなる。そういう感じで、考えながら食べる習慣をつけることが何よりも大事なのです」