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東京・浅草はなぜ魅力的なのか? ひばり映画や『浅草キッド』に刻まれたその姿とは

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

政府が全面協力したロケーションが持つ価値ある動体資料

○50年代:『東京暗黒街・竹の家』(1955)

 第二次世界大戦の終戦から約10年後、米国人のサミュエル・フラー監督が手がけた作品。のちの東京を舞台に、警察とともに国際犯罪組織を追う米陸軍潜入捜査官エディ(ロバート・スタック)によるギリギリの捜査と、日本人女性マリコ(山口淑子)との恋を描くクライム・サスペンス。

 ギャングがパチンコ店を牛耳っていたり、市中での銃撃戦があったり、日本人がだいたい会話ではなく一方的に話しまくっていたり、富士山が間近に見える場所にギャングのアジトがあったりと“トンデモ映画”の側面はある。だが、日本政府と警視庁、そしてMPが協力していることもあって、動体資料としての価値は素晴らしい。

 鎌倉の大仏、鶴岡八幡宮、時には皇居前など数々のロケーションで撮影が行われるが、度肝を抜かれるのは富士山を背景に撮影された冒頭の貨物機関車強盗事件。富士山麓鉄道を貸し切っての撮影だけあって、アングル、アクションともにこれを超えるスペクタクルな撮影は見たことがない。

浅草松屋(写真はイメージ)【写真:写真AC】
浅草松屋(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 そして、“ギャングが幅を利かせている街”として描かれるのが浅草。ここでも「浅草国際劇場」の外観や街中がロケーションとして使われる。一番の見どころは有名デパート「浅草松屋」の屋上にあったスカイクルーザーでの銃撃戦。屋上遊園地から当時の隅田川方面、雷門方面の風景を見ることができる。

浅草寺でも撮影が行われた【写真:関口裕子】
浅草寺でも撮影が行われた【写真:関口裕子】

 大勢の子どもが遊ぶ遊園地を銃撃戦の場とし、地上には撃たれて倒れる女性がいる銃撃戦はなかなかにショッキング。だが、進駐軍が去った直後の日本、外国人の目で見た浅草を見ることができる類を見ない作品といえる。

 もう一つ。この映画では、今は暗渠となった箱崎川に舟を係留させて暮らしていた水上生活者が描かれる。撮影されたのは日本橋箱崎町の永久橋近くだというが、1972年に埋め立てられたため今は存在しない。